モリコーネ 映画が恋した音楽家の映画専門家レビュー一覧

モリコーネ 映画が恋した音楽家

2020年に逝去した映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの軌跡をたどるドキュメンタリー。彼が手掛けた数々の作品の名場面やワールドコンサートツアーの模様を交え、モリコーネ本人ほか70人以上の著名人のインタビューによって、彼の仕事術の秘密が明かされてゆく。モリコーネの弟子であり親友でもある、「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が5年以上にわたる密着取材を敢行し完成させた。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    監督のモリコーネに対する愛情が過剰すぎて笑ってしまう。ストレッチをするモリコーネの顔のどアップ。何やねんこれ。モリコーネの生まれてから死ぬまでをもの凄い情報量で描く。何十人にもわたるインタビュー。どこから見つけてきたのかわからないぐらい大量の映像や写真が挿入される。数々の名作の裏側を覗き見る。モリコーネが今まで作った曲を手振りと発音で再現する。子供みたいに没頭する姿がイカレてる。アカデミー賞が取れなくて悔しいとか俗だけど実にキュート。

  • 文筆家/俳優

    睡蓮みどり

    映画音楽の素晴らしさを実感し、堪能することのできる優雅で豪華な一作。そうか、これもモリコーネだったな、などと思い出したり発見したりしながら、わずかなシーンを見るだけなのに思わず何度か涙ぐむ。映画に愛されることは間違いなく才能だ。映画音楽家という存在になることがモリコーネの「夢」ではなかったとしても、その存在に感謝せずにはいられない。本作の監督であるジュゼッペ・トルナトーレ自身がインタビューに登場するのも微笑ましい。映画がもっと好きになる映画。

  • 映画批評家、都立大助教

    須藤健太郎

    2001年の9・11に関する記録映像の引用の仕方に、しばし戸惑う。こんなに次から次へと痛ましいものを見せる必要がはたしてあるのかどうか。WTCに突っ込む飛行機。ビルから飛び降りる人。路上で粉塵にまみれ、慌てふためく群衆の姿。そして、崩れ落ちるタワー。観客にショックを与えるための、派手な効果を狙った「恐怖のスペクタクル化」? トルナトーレの品のなさが図らずも露呈している。彼はモリコーネ音楽のある種の雄弁性をこういうふうに理解しているわけである。

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