母性(2022)の映画専門家レビュー一覧

母性(2022)

「告白」など映像化が相次ぐベストセラー作家・湊かなえが母と娘の愛憎を綴った同名ミステリーを、「ノイズ」の廣木隆一監督が映画化。真相が不明のままになっている女子高生死亡事件。娘を愛せない母と母に愛されたい娘、二人の食い違う証言が紡がれていく。母・ルミ子役で「あの日のオルガン」の戸田恵梨香が、娘・清佳役で「マイ・ブロークン・マリコ」の永野芽郁がW主演。また、理想に生きるルミ子の母を大地真央が、口が悪いルミ子の義母を高畑淳子が演じる。第41回バンクーバー国際映画祭正式招待作品。第35回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門上映作品。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    実年齢よりもかなり上の役の戸田恵梨香と、実年齢よりもかなり下の役の永野芽郁。この二人が母と娘を演じていることの違和感がなんらかの伏線なのかと思いきや、最後までその違和感は解消されず。高畑淳子の大仰な演技と合わせて、テレビでも辛うじて成り立つかどうかの企画をスクリーンで見せられているような気持ちに。あと、こういう主題の作品こそ年5本も新作が公開される「売れっ子」ではなく、日本のメジャー映画で極端に少ない女性監督起用の機会にすべきなのでは?

  • 映画評論家

    北川れい子

    母親からお姫様のように育てられ、母親っ子のまま結婚して娘を生んだ女と、母親っ子になりたいのに愛してもらえなかったその娘。「母性」というタイトルに惑わされそうになるが、内容はひところ流行った大仰な女性向き読み物シリーズ、ハーレクイン・ノヴェル的で、演出も女優陣の演技も意図的にハイテンション。そういう意味では面白くなくもないが、女には二種類ある。いつまでも誰かの娘である女と、いつまでも誰かの母である女、という手前味噌的台詞には苦笑い。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    登場人物ほぼ全員狂っているというヤバい種類の面白さに興奮。だがノレない点がふたつ。そのとき男たちは何をしてたか、どんな表情をしてたかを撮りこぼしていることと、娘が父を詰める、それ自体は名場面のなかで出る彼女の「あんたらヴェトナム戦争も日米安保もどうでもよくって個人的な不満の鬱憤ばらしだったんでしょ」という認識。まあその見方なら彼女も内面の反映以外の世界に出ないまま地獄を再生産するだろうから首尾結構は合っているかも。大地真央と高畑淳子が良い。

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