ポゼッサーの映画専門家レビュー一覧

ポゼッサー

鬼才デヴィッド・クローネンバーグの遺伝子を受け継いだ息子ブランドン・クローネンバーグが「アンチヴァイラル」以来8年ぶりに発表した監督第二作。遠隔で人をコントロールし暗殺を実行する女と、人格を乗っ取られる男の攻防を鮮烈なビジュアルで映し出す。出演は「ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷」のアンドレア・ライズボロー、「ピアッシング」のクリストファー・アボット、「ヘイトフル・エイト」のジェニファー・ジェイソン・リー。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    いきなりの残酷描写がえぐい。何回刺すねん。ゲゲッってなった。?みはオッケー。自殺すれば戻ってこられるのに、なかなかできないっていう設定もいい。困難な状況をどう解決するのかで、物語は進む。先が読めなくて面白い。他人の脳に入って、殺人を繰り返す主人公の女の人がよくわからない。残酷な殺し方を選ぶ彼女に何があったのか。よくわからないまま最後まで行く。ラストの殺しもよくわからなかった。分かる必要もないのかもしれないが、すっきりしない。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    ハーヴェィ・ワインスタインを彷彿とさせる男が最初に殺される。現実で殺せないなら映画のなかで殺せといわんばかりに、恨みのこもった見事な滅多刺し。そんな意図があったかどうかはわからないが、執念のこもった殺し方は、映画だからできる素晴らしい表現のひとつでもある。緊張感の漂うなか繰り広げられていく殺し屋の意識と、乗っ取られた肉体の持ち主の意識がぶつかりあい、また残忍な殺しが起こる。鮮血が飛び散り、自分も返り血を浴びたような気分になる。爽快な美意識。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    ゴアとかスプラッターとか、完全に自分の理解を超えていることを正直に告白しておく。好きな人たちがいるとして、でも私はやはり苦手である。途中、何度か薄目で見た。あと、とにかく血が出るシーンが必要で、その整合性を付けるためにいろいろと理屈が捏ね回されているようだが、そういう「知的」な言い訳も好きではない。父クローネンバーグの影響というより、目配せのようなものを随所に感じるも、大きな違いはバカバカしさの有無ではないか。息子の映画は真面目一辺倒に見える。

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