ホリック ×××HOLiCの映画専門家レビュー一覧
ホリック ×××HOLiC
創作集団・CLAMPによる大ヒットコミック『xxxHOLiC』を蜷川実花監督が実写化。人の心の闇に寄り憑く“アヤカシ”が視えてしまう孤独な高校生・四月一日。その能力を捨て普通の生活を送りたいと願う彼は、ある日、一羽の蝶に導かれ、不思議な【ミセ】にたどり着く。出演は「屍人荘の殺人」の神木隆之介、「燃えよ剣」の柴咲コウ、「ライアー×ライアー」の松村北斗。
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脚本家、映画監督
井上淳一
ヤバい。酷いを超えている。原作読む気にもならない。人は一人では生きられず、世界の見方を変えることで運命は変わると自己啓発的なことを母が子に教える話だが、いくら漫画原作でももう少し人間を生身に描く努力をしないと。キレイな画を動かすだけじゃ。もし日本にラジー賞があったら間違いなく全賞制覇。いや、そんな映画ばかりか。役者も作品選んだ方が。松竹製作で文化庁の助成金が二千万円出ているが、なんでこんなものに。「宮本から君へ」を取り消してる場合じゃない。
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日本経済新聞編集委員
古賀重樹
蜷川実花というアーティストが独自の視覚的イメージをもっていることはわかる。どんなジャンルの作品でもそのイメージは貫かれており、この映画も例外ではない。美術も衣裳も、撮影も照明も、その世界に奉仕している。でもこの退屈さは何なのだろう。一つ一つの画面をどんなに美しく細密に悪魔的に作りこんでも、動く絵としての運動感にまるで乏しいのだ。黒いもややら、ちょうちょやらが現れて物語を転がすのだけれど、ショットとショットのつながりは何も語っていない。
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映画評論家
服部香穂里
エンドクレジットで一際目を引く、“セクシー所作指導”なる職種に苦笑しつつ、美や色気などをめぐる、観る者個々に委ねられるべき判断基準を押しつけるがごとき、けばけばしい世界観に疲弊。登場する度にお色直しに余念のない、柴咲コウのコスプレショーとしては一見の価値ありだが、彼女が示唆する人生訓めいたものは、今更な感じが拭えず。制作陣の原作のヴィジュアル再現への半端なきこだわりが、却って物語の脆さまで露呈する、皮肉な結果を生んだようにも思われる。
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