ザ・ミスフィッツの映画専門家レビュー一覧
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米文学・文化研究
冨塚亮平
枝葉を徹底的に削ぎ落とすことで、最近のハリウッド映画であれば二時間を優に越えそうな、要素を盛り込みすぎの脚本を百分以内に収めている点は素晴らしい。だが同時に、ナレーションの乱用と意外にあっさりしたアクション場面も相まって、全体的に別の作品のダイジェストを観ているような感覚に陥ってしまったのも確か。金塊強盗とPCや多様性の視点を強引に両立させようとする脚本への興味のなさが随所に伝わってくる、ハーリンの仕事に徹した職人的演出を楽しめるかどうかが肝か。
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日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰
降矢聡
人にはその人自身の出自があり、個性があり、主義思想や指向も嗜好もある。ケイパームービーとは誰か一人でもかけてしまっては成り立たず、そして誰もが失敗もすれば、スポットライトも当てられる理想的な世界の別称だ。その世界が旧世界への軽やかなカウンターとなれば、それはカッコの良い犯罪映画となる。その意味でほぼピアース・ブロスナンだけ活躍する本作には不満が残る。もちろん視聴者を巻き込んでの騙し合いも醍醐味の一つだが、その方面からでも擁護は難しい。
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文筆業
八幡橙
ガイ・リッチー風にテンポよく滑り出す、正義のために立ち上がる犯罪プロ集団の物語。とはいえ、冒頭から機関銃のごとく放たれまくる説明台詞が咀嚼しづらくいきなり苦戦。そんな観る者の困惑に構わず、こちらも滑りが良すぎるギャグの連打とぬるめのアクションを織り交ぜながら、ストーリーは快調にするすると進みゆく……。軽妙さが売りのアクション映画であっても、人物に奥行きがなくては没入しがたい。せめて主人公と敵キャラ(ティム・ロス!)だけでも掘り下げてほしかった。
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