クライモリ(2021)の映画専門家レビュー一覧

クライモリ(2021)

後にシリーズ化された2003年の同名ホラーのリメイク版。バージニア州の小さな町レンウッドにある自然歩道を訪れたジェンと友人5人は、好奇心から森の奥に足を踏み入れ、迷子になる。だがそこには、彼らの命を狙う恐るべき罠が張り巡らされていた。出演は、スーパーモデルとしても活躍するシャルロッテ・ベガ(「ダーケスト・ウォーター」)、「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」のマシュー・モディーン。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    人種やジェンダーをめぐる差別を問い直す近年の流れを受け、とうとう人気シリーズの怪物表現にもアップデートの波が。人類学的な視点を盛りこみながらも同時に暴力描写は一切手加減せず、田舎ホラー特有のベタな設定や展開も部分的に残すことで、致命的な失点を防ぎつつ娯楽映画としてのバランスを巧みに保っている。過剰さや歪さに欠けるウェルメイドなB級ホラーが時代を超えて愛されるのかは疑問だが、そこまで求めるのは酷か。元作品を褒めていた帝王キングの感想が気になる。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    ホラーという枠組みは崩さず、その中で様々な映画の型を横断していく作りやカルト集団が焦点になるなど、現代的な流行は感じさせる。実際に「トマホーク ガンマンvs食人族」や「バクラウ 地図から消された村」、はたまた「グリーン・インフェルノ」や「ミッドサマー」、それに「マッドタウン」から果てはジョン・フォードの「捜索者」まで様々に想起させるが、それはあくまで表面的な類似にすぎず、本作に強烈なオリジナリティがあったかと言われるとかなり疑問が残る。

  • 文筆業

    八幡橙

    2003年版から約18年。中盤までは、その歳月の意味を感じた。森に入る若者全員が白人の旧作に対し、現代版は国籍も多様化し、一組は同性カップル。以前は下着と見紛う服装のパリピ揃いだった女性陣も、ここでは一転、強く、クレバーに。第一に森で闘う相手自体が食人族ではなくなり、偏見や差別に抗う姿勢がくっきり。が、後半突然「ザ・ビーチ」的展開に突入し、マシュー・モディーン演じる父が合流する終幕は、遂に「ウィッカーマン」に!? “リブート”の意味をしみじみ、考えた。

1 - 3件表示/全3件