階段下は××する場所であるの映画専門家レビュー一覧

階段下は××する場所である

小説投稿サイト『小説家になろう』に掲載された羽野ゆずによる青春ミステリーを実写化。雷宮光は、雨の日に傘を貸してくれた後輩男子・水無月日向に一目惚れ。ある日、光が日向を追いかけ回していると、悲鳴が聞こえ、2人の男子生徒が階段下と踊り場で倒れていた。出演は、舞台・ラジオなどを中心に活躍する平岡かなみ、『色の街』の安慶名晃規。監督は「11月19日」の神谷正智。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    徹頭徹尾どうでもいい話が、特に前半は校内や図書館の代わり映えのしない室内のシチュエーションで、成り行きまかせのように進行していく学園ものなのだが、不思議な中毒性がある。原作は小説投稿サイトで連載された4つの短篇WEB小説とのことだが、結果的にヌーヴェルヴァーグ期の連作短篇映画のような趣も。主人公の女子高生の男言葉に象徴される物語のナラティブから、ポスターのビジュアルデザインまで、明確に既存のティーンムービーのオルタナティブであろうとしている。

  • 映画評論家

    北川れい子

    タイトルを見てR指定系の作品を想像したら、何のことはない、女子上位の青春ミステリーで、可愛げもある。雨の日に傘を貸してくれた下級生男子が気になった高三女子が、その男子につきまとう過程で、次々と謎めいた事件に出会い、二人でその謎を解くという話。場面ごとに別の映像を入れたり、黒画面を使ったりの映像演出はいささか鼻につくが、若い俳優たちの媚びない演技は好ましい。保健室の先生の存在が小気味よく、シンプルな小品だが、神谷監督、楽しみました。

  • 映画文筆系フリーライター

    千浦僚

    邦画秋のミステリ祭り。新本格ミステリの姪っ子甥っ子のような学園探偵もの。謎が人物らの日常に合って無理なく楽しい。いや無理無理だらけの大風呂敷の過激さも楽しいし、映画はそういうことをやるべきだとも思うが、本作主人公らの佇まいや律儀な口調には魅了された。山形の風土も良い。ただし五月蝿いことを言うようだが最終話だけはいただけない。相手の失敗を望むこと、男女逆ならどうか、などが。地方映画の設定の真の難しさは自己実現と上京に関する部分だと気づく。

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