異動辞令は音楽隊!の映画専門家レビュー一覧

異動辞令は音楽隊!

「ミッドナイトスワン」の内田英治が、YouTubeで偶然目にした警察音楽隊のフラッシュモブ演奏の映像から着想を得たオリジナル脚本&監督作。犯人検挙には手段を選ばない警部補・成瀬司が、捜査の最前線から広報課内の<音楽隊>へ異動させられて、人生を見つめなおす涙と笑いのエンターテインメント。主人公の犯罪捜査一筋30年の鬼刑事・成瀬司を演じるのは阿部寛。同僚のトランペット奏者・来島春子役に清野菜名、捜査一課の部下・坂本祥太役に磯村勇斗、サックス奏者・北村裕司役に高杉真宙、警察音楽隊を目の敵にする県警本部長・五十嵐和夫役に光石研、成瀬の母・幸子役に倍賞美津子。主題歌は、Official髭男dismが書き下ろした「Choral A」。メンバーの楢崎誠がかつて島根県警察音楽隊でサックスを演奏していた縁もあり、作詞・作曲を担当した。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    このタイトルでライトなコメディではなく、リアリズムタッチの作品であることには意表をつかれたが、ストーリーはあまりにも予想通りに進んでいく。「コンプライアンスの壁にぶつかる昔気質の刑事」という設定を、映画の制作現場のメタファーと読み取ることも可能。もっとも、警察組織そのものに対する批判的な視点は皆無。冒頭とクライマックスで2回、緊急時でもないのにパトカーがサイレン鳴らして一般車を追い越すシーンを作り手が好意的なスタンスで描いているのには唖然とした。

  • 映画評論家

    北川れい子

    予定調和は娯楽映画のよくある手法のひとつだが、本作の場合、その立ち上がりからあとに続く流れまで、すべて予定調和&想定内のまんまで、これにはいささかガックリする。つまらなくはないけれど、面白くもないのだ。畑違いの音楽隊に配属された捜査課の鬼刑事。阿部寛は「とんび」と似たような独りよがりな主人公を駈け足気味に演じているが、どうも嘘っぽい。主人公の周辺の事件やエピソードも勝手知ったる出来合いのレベルで、別れた妻と暮らす娘の描き方も手の内、見え見え。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    これはまた、ほぼ阿部寛しかできない役だわ……まずコワモテのごつい刑事で説得力ないといかんし、そこからのズッコケや愛嬌も必要なわけで。キャスティング、存在感、阿部寛、見れば納得である。変格的バックステージものミュージカル、でもあって、ありそうでなかったユニークな題材だとも思う。的確によく動き、活気のある撮影が良かった。そういえば主人公の音楽隊異動以前の刑事パートではちゃんと硬質な刑事もの映画らしいルックにもなっていて、そういうところも面白い。

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