黄龍の村の映画専門家レビュー一覧

黄龍の村

「ある用務員」の阪元裕吾監督によるバイオレンスホラー。キャンプに行こうと盛り上がる8人の若者たち。だが、携帯も繋がらない山の中で車がパンクし、助けを求めようとトンネルを抜けると、包丁が頭に刺さった案山子がある奇妙な村“龍切村”にたどり着く。出演はTV『魔進戦隊キラメイジャー』の水石亜飛夢、「この道」の松本卓也。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「ファウンドフッテージもの」的なスマホ縦型画面の導入部から、「ミッドサマー」や「犬鳴村」のヒットでにわかに活気づいている「ウィッカーマン」系「村ホラー」へと突入。と思いきや、そこからの展開に驚きの仕掛けが。監督のフィルモグラフィーからも明らかなように、さほどホラーというジャンルに思い入れがないからこそなし得たトリッキーな一篇なのだろうが、だとしても村人たちのキャラクターの作り込みがユルすぎて緊張感が皆無。メインの若者たちの生態や所作はリアルなのに。

  • 映画評論家

    北川れい子

    怖くもなければ痛くもない賑々しいスプラッタホラーで、なにやら肩透かし。阪元監督作品といえば、今年公開の「ある用務員」や「ベイビーわるきゅーれ」には、設定やキャラには遊びがあったが、ハードなバイオレンス演出は本気だった。それが本作では殺し合いごっこでもしているようで、過激なわりに格好だけ、まるでうちうちでじゃれあっているかのよう。奇っ怪な風習のある山村に迷い込んだ8人の若者たちが、村人たちから皆殺しにというのだが、凶器も仕掛けもふざけすぎ。

  • 映画文筆系フリーライター

    千浦僚

    先頃公開された同監督の「ベイビーわるきゅーれ」より個人的にはこちらのほうが好きかも。ブチ殺す・おっ死ぬ、で、終わりっ! という映画の系譜(「ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー」「忠烈図」など)にまた一本。本作に比べれば「発狂する唇」(00年、監督佐々木浩久、脚本高橋洋)はまだ上品すぎ、優雅すぎたかもしれない。どうなるか読めず、斜め上に抜けていく、その角度と速度を愛する。なるだけ観る人には予備知識なしに観て驚いてもらいたいので、下手な説明書けず悩む。

1 - 3件表示/全3件