TANG タングの映画専門家レビュー一覧

TANG タング

人間とロボットの美しい友情を描く、二宮和也の2年ぶりの映画主演作。妻に捨てられたダメ男の健と、記憶を無くした迷子のロボットのタング。ポンコツ同士の運命の出会いが大きな奇跡を呼ぶ冒険ファンタジー。原作はイギリスのデボラ・インストールの小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』。ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれ、日本国内でシリーズ累計発行部数28万を超えるベストセラー。出演は二宮が演じる健の妻役で弁護士の絵美を満島ひかり。小手伸也が謎の組織の加藤飛鳥に、奈緒が中国在住のロボット歴史学者の大槻凛に扮した。また、京本大我(SixTONES)がロボットやAIに詳しい会社員の林原信二役として登場、単独での本格映画出演を果たしている。そのほか、市川実日子、武田鉄矢、かまいたちの山内健司、濱家隆一など、個性あふれる面々が集結。監督は「今夜、世界からこの恋が消えても」「アキラとあきら」など2022年の公開作が目白押しの三木孝浩。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    1カ月に3本の新作が公開される三木孝浩監督。本作は昨年公開の「夏への扉 -キミのいる未来へ-」に続くSF作品で、本作の成否によってはティーンムービーに加えて作家としてのもう一つの軸ができるかどうかの瀬戸際。にしては、「ショート・サーキット」を記憶している世代にとってはストーリーの新味が乏しい。また、人気芸人を芸人のキャラクターやコンビの関係性のままスクリーンに放り出す「日本のメジャー映画の病」がここでも。かまいたちが好きだからこそ耐え難い。

  • 映画評論家

    北川れい子

    どちらかと言えば、子供より大人向きの人間とロボットのバディムービーだが、それにしてはストーリーが幼稚で、他のキャラクターもコント並みの薄っぺら。錆びが目立つずんぐり型のロボットはそれなりに面白いが、二宮和也の主人公はいくらダメキャラと言っても無責任で歯がゆ過ぎ、実にもどかしい。そうなった原因というのがまたよくあるパターン。娯楽映画としてあなた任せで観ている分には楽しめるのだろうが、もう少しコクのある作品に仕上げてほしかった。ああ、もったいない。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    二宮和也氏がいくつなのかちゃんとわかっていなかったのだが、もう永遠の二十代というイメージで、実際そういう見た目であることと、実は四十歳手前であってそういわれればそうかもということの変化球的落差がこの主人公そのもので、観てて、えっ弟じゃないの結婚してる男なの、おっ医者なの、あっ免許あるの、といちいち驚いたがその情報開示を通過するとまた彼はそのとおりに見えるのである。知らぬ間の成長譚に適役だった。また武田鉄矢氏の禍々しさには興奮させられた!

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