ノイズ(2022)の映画専門家レビュー一覧

ノイズ(2022)

「デスノート」の藤原竜也、松山ケンイチがW 主演、神木隆之介共演の新感覚サスペンス。『グランドジャンプ』(集英社)で連載されていた同名漫画を映画化。平和な孤島と3人の幼馴染、そこに現れた一人の凶悪犯。一滴の<ノイズ>が殺人を呼び、壮絶な死体隠しが始まる。「猪狩島」復興の期待を一身に背負いながらも、島を訪れた元受刑者のサイコキラーを殺してしまった泉圭太を藤原竜也、その殺人隠ぺいに協力する幼馴染の田辺純に松山ケンイチ、故郷の猪狩島で勤務する新米警察官の守屋真一郎を神木隆之介が演じる。廣木隆一監督と脚本家の片岡翔が「夏美のホタル」以来、再びタッグを組んだ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    ワーナー×日本テレビ×藤原竜也という、「デスノート」を発端に手を替え品を替え15年以上続いている座組でも出色の作品。『ファーゴ』シリーズ(2010年代以降、「ファーゴ」といえば映画ではなくドラマシリーズのこと。念のため)を思わせる僻地ミステリーの精巧なプロットにすっかり翻弄された。自身の企画と受注企画とで作品にムラのある廣木隆一だが、原作コミックとの相性がよほど良かったのか、まるでオリジナル作品のように繊細で抑制の効いた演出手腕を披露している。

  • 映画評論家

    北川れい子

    新感覚サスペンスと謳っているが話の発端からしてやたらにもどかしい。ただ、そのもどかしさが危なっかしいゲームを思わすこの作品のサスペンスになっていて、とりあえず最後まで飽きさせない。予期せぬ死体を隠そうとする3人の共犯者の、島におけるそれぞれの立場が、さらに予期せぬ死体を招き寄せてしまうのだが、結構遊びもあり、余貴美子の役どころにはついニヤリ。藤原竜也と松山ケンイチの役を入れ替えてほしかったような気もするが、成り行きの裏に仕掛けがあり、騙される。

  • 映画文筆系フリーライター

    千浦僚

    ずっと曖昧で、ヌルッとした状況に、ヌルッとした対応が積み重なっていく。それがまったく見誤りようがなくいまの日本というものを指しているつくりだしそういう狙いだが、そう見て取ることにも、観ること、語ることの高揚はなくて難しい。ネットフリックス版『新聞記者』への批判としてよく見る、それがどうした、を呼び込むほど現実やモデルとなることに近くはなく、ちゃんと固有のフィクションとしてこの負の連鎖を味わえもするが、いや日本人、ダメだ……。

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