ベイビーわるきゅーれの映画専門家レビュー一覧

ベイビーわるきゅーれ

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019短編コンペティション部門グランプリを受賞した「ぱん。」の阪元裕吾監督による青春アクション。殺し屋のちさととまひろは、高校を卒業し表向きは社会人として振る舞わなければならず、社会の理不尽さに揉まれる。「ある用務員」などに出演、舞台『鬼滅の刃』で注目される髙石あかりと、「るろうに剣心 最終章」シリーズでスタントダブルを務めたスタントパフォーマーの伊澤彩織が、社会に馴染もうと奮闘する元女子高生の殺し屋コンビを演じる。アクション監督を、「THE NEXT GENERATION -パトレイバー-」シリーズなどを手がけてきた園村健介が務める。
  • 映画評論家

    北川れい子

    かなり人騒がせな設定だが、冒頭から能書き無用のアクションで一気にこちらの気を引いて、座布団一枚! 殺し屋をしている10代女子2人の、バイト探しでの暴走。1996年生まれの阪元監督の、どこかとぼけたバイオレンス作品で、ルームシェアをしている2人の緩いお喋りがまたくすぐったい。なにより魅力的なのはキャラの違う彼女たちの演技とアクションで、素早い動きは言い訳無し。2人が殺し合う相手が迷惑なヤクザや半グレなのも小気味よく、阪元監督、乞うシリーズ化。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    揺るぎない世界をもった阪元裕吾監督。前作「ある用務員」で抜きん出た存在感を放った高石あかりと伊澤彩織を同じような殺し屋コンビで登場させ、キャラクターの魅力でまず引きつけるが、今回は彼女たちを包囲する社会(男性社会)との対立図式を明確に描き、現代にふさわしいシスターフッド映画に仕立ててみせた。スタントマンの伊澤、アクションのキレはお墨付きだが、初めてセリフのある役をふられたというその口跡に絶妙なおかしみがただよう。伊集守忠の撮影も冴えている。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    その能力をどう身につけたのか。バカな回想の説明などなく賢明だとしたいが、高石あかりと伊澤彩織演じる十代の女の子二人が殺し屋。そして二人が敵対することになるヤクザの娘に秋谷百音。ビビらない役をビビらずにやりきったこの三者が新鮮。音を整理してセリフがラップ的になればもっと楽しかった。頭のわるいヤクザとの決戦がクライマックスで、世界のシステムに反モラルのゲームを挑む展開がないなど、実は惜しいことだらけ。阪元監督、派手な技の加速的順番も考えてほしい。

1 - 3件表示/全3件