うみべの女の子の映画専門家レビュー一覧

うみべの女の子

浅野いにお原作の同名漫画を実写映画化。海辺の街で暮らす中学生の小梅は先輩に振られたショックから、かつて自分のことを好きだと言ってくれた同級生・磯辺と関係を持つ。初めは興味本位だったが、何度も身体を重ねるうち、徐々に磯辺に想いを募らせていく。監督は、「リュウグウノツカイ」がゆうばりファンタスティック映画祭で北海道知事賞を受賞したウエダアツシ。出演は、「イソップの思うツボ」の石川瑠華、「サクリファイス」の青木柚。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    映画を観て、気になって原作を読む。その空気感、どうしようもない閉塞感まで、見事に原作が映画に置き換えられている。役者たちもすべて原作から抜け出したように生きている(石川瑠華、仕事したい)。ただ、原作に足りないものがそのまま映画に足りていない。ラストカットもマンガと全く同じだが、果たして映画はそれで終われるのか。そこを考えて考えて考え抜くことでしか、トレース以上のもの、映画は生まれない。惜しい、傑作になり損ねている。原作愛以外の、作り手の顔が見たい。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    海辺の小さな町に住む15歳の少女が先輩に手酷く振られた反動で、かつて言い寄ってきた冴えない同級生と愛のないセックスを繰り返す。ちょっと昔の青春映画によくあったような物語だが、少女も少年もえらくナイーブ。このナイーブさは今の青春ものの傾向なのか、今の若者の実感なのか。手持ちカメラの効果も含め、ウエダアツシ監督の話法はまだよく見えないが、少女たちも少年たちも人工的にキラキラしておらず、ぶすっとしているところに現実味がある。風雨のシーンは見せる。

1 - 2件表示/全2件

今日は映画何の日?

注目記事