彼女が好きなものはの映画専門家レビュー一覧

彼女が好きなものは

浅原ナオトの小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を映画化。ゲイであることを隠しながら高校生活を送る安藤純と、BL好きを隠しているクラスメイトの三浦紗枝。書店で鉢合わせたことから急接近する2人だったが、ある日、純は紗枝から告白され……。出演は「私がモテてどうすんだ」の神尾楓珠、「ジオラマボーイ・パノラマガール」の山田杏奈。監督は「にがくてあまい」の草野翔吾。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「どこかで見たことがある話だな」と思ったら、2年前のNHK『腐女子、うっかりゲイに告る。』と同じ原作。やたら「ホモ」というワードがでてきてギョッとしてたら、たった3年前に出版されたその原作のタイトルに思いっきりそのワードが。つまり、NHKがいろいろ配慮してドラマ化した作品を、敢えて3年巻き戻してみたということか。それだけコスリ倒すのには根強い若年層のニーズがあるのかもしれないが、同種の海外作品に頻繁に触れている観客なら問題意識が素朴すぎて面食らうだろう。

  • 映画評論家

    北川れい子

    高校生の純と家族持ちの恋人との性愛シーンがかなり生々しい。おいおい、大の大人が未成年男子を相手になんてこと! ただこの場面、あくまでもナマ身の純を見せるための演出なのだか、本来の自分を変えても普通の男子、普通の青春を送りたいと思う純の気持ちの背景として効果的。そしてBL漫画好きを隠したい同級女子。そんなぼくと彼女の交流が微妙な思惑を含んで描かれていくが、自分は普通ではないと思う内なる差別意識を自ら壊す彼女の姿は感動的で、演じる山田杏奈に拍手。

  • 映画文筆系フリーライター

    千浦僚

    先日「きのう何食べた?」に関して文章を書き公開したがその文中で私はBL漫画を低く見るかのような表現をし、それを指摘するリプをもらい、これを重く受け止めた。日本映画史を知る者ならポルノ映画がそこに占める位置を知りポルノ文化を低くは見ないが、内なる差別があったのかと。8歳のとき従姉の本棚にあった『キャプテン翼』(と思った漫画)で見た、翼とロベルト本郷が絡む衝撃がいまだに去らない私は多分BLが苦手だ。本作を従姉(現在既婚)の青春の一頁と妄想した。

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