アジアの天使の映画専門家レビュー一覧
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フリーライター
須永貴子
「おじさんの天使」というモチーフが独特だが、インパクト狙いの嫌らしさがなく、キャラクター造形やシナリオ、そして監督が映画を作る理由にも繋がっている。あの時期に日本から最少人数で韓国へ出向いて撮ったことにも、必然性がある。「相互理解」というテーマは真摯だが、ディスコミュニケーションを受け入れた上での友愛が、映画に羽根を生やしている。忘れ去られる映画の方が圧倒的に多い中、この作品は「おじさんの天使が出てくる映画」として、記憶に残り続けるだろう。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
石井裕也は頼もしい。失敗作と言われるものでさえ、一定の満足感を確実に与えてくれる。それは石井の映画に対するものすごくまっとうな取り組み方によるものだと思う。そのことは彼の著書『映画演出・個人的研究課題』を読むとよくわかる。もの作りへの向き合い方がとても真摯なのだ。もちろんこの映画は失敗作ではない。軽そうで重そうで、緊迫しながら弛緩もする。とてもいい匙加減。日本と韓国の俳優たちのそれぞれのキャラクターが泣かせる。人間の味がひしひしと伝わってくる。
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映画評論家
吉田広明
その待機中に「生きちゃった」が、その体験を経て、母について直接的に語る「茜色」が生まれた契機となった作品。切迫し、悲壮感のある二作と違い、穏やかな肯定感に溢れた作品となっている。変人と思われながらも真っ当な、すぐそこにいる人こそが天使である、そのことは前二作にも述べられている通りで、今回のような形で視覚化されるべきなのかという疑問は残るにせよ、日韓のディスコミュニケーションがそのままコミュニケーションに転化する奇跡の楽天性には感動を禁じ得ない。
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