鳩の撃退法の映画専門家レビュー一覧

鳩の撃退法

直木賞作家・佐藤正午による同名小説を、藤原竜也主演で映画化。天才小説家の津田伸一は、とあるバーで編集者・鳥飼に執筆途中の新作を読ませる。彼の体験を元に書かれたその小説に鳥飼は心を躍らせるが、話を聞けば聞くほど小説の中だけの話とは思えなかった。共演は「哀愁しんでれら」の土屋太鳳、「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」の風間俊介。監督は「ホテル ビーナス」のタカハタ秀太。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    物語の構造そのものに手を突っ込んだ作品というのはよほどの自信と技術がないとできないことで、原作はそれをクリアしているのかもしれないが、少なくとも本作は「映像化不可能と言われ続けてきた」とかいうレベルのはるか手前でつまづいている。冒頭のシーンからひたすら台詞が薄ら寒く、回想ショットで説明を重ねれば重ねるほどリズムはもたつく。小説家という職業が何か特別なものであるという前提、藤原竜也の独りよがりなハードボイルド風演技、すべてがしんどかった。

  • 映画評論家

    北川れい子

    ハンカチから鳩が、といえばマジシャンがよく使うトリックだが、この映画の鳩は富山と東京を慌ただしく飛び回り、その度にトラブルが。いや、そもそも鳩って、何のこと、誰のこと? 万札を本の栞に使う癖がある作家が巻き込まれたニセ札騒動。と見せ掛けた創作秘話。と思わせて進行する人騒がせなミステリー仕立てのコメディで、曰くありげな人物やエピソードが、ただの捨て駒だったりするのが心憎い。あっ、もしかしたらこの映画自体が、捨て駒だったり。で、笑うのは藤原竜也。

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