アオラレの映画専門家レビュー一覧
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
ラッセル・クロウ版都会の「ヒッチャー」か。特に脚本やセリフが練られているわけでもなく、現代の都会においてこれほど好き勝手なことをして警察に捕まらないことなど不自然が満載。月曜の朝は誰もがストレスを抱え憂鬱だ。微動だにしない渋滞だからこそ恋愛や妄想が生ずる「ラ・ラ・ランド」などもあった。予測ができない予定調和でない状態だからこそ物語は動き出すものではあるのだが。あまりに自由な乱暴者ゆえ、この男は現実には存在しない現代の抑圧の象徴にさえ見えてくる。
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フリーライター
藤木TDC
「ファナティック」のトラヴォルタ、「カポネ」のT・ハーディに負けじとラッセル・クロウも強烈なキモデブ中年サイコを真面目に熱演。ブサイクに変身が流行なのか? しかも中身は「激突!」や「ヒッチャー」を都市部に舞台移植しただけの新味も社会性もないDVDスルーにありがちなB級スリラー。ラッセル、過去の栄光をドブに捨てたくなる痛手でもあったかと心配に。とはいえ彼が演じる醜い中年の無様な暴走と心情吐露に私は感情移入でき、スカッと爽やかに見終えた口だ。
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映画評論家
真魚八重子
80年代辺りに粗製濫造されていたサイコスリラーを思い出す小品だが、端々で現代的な問題が浮き彫りになる。犯人像がもはや失うものがない、いわゆる“無敵の人”で、他責的な憤怒と暴力の過剰さがいまの時代の不穏さと共鳴する。「激突!」のような映像作品史に残る傑作の後追いは分が悪い。そのためか本作の恐怖は早い段階で車を離れ、責任の負荷に移行するのは、正解ではないだろうが仕方ないかもしれない。ラッセル・クロウの面立ちが暗く、不機嫌な顔は、恐ろしい悪役にはハマる。
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