国民の選択の映画専門家レビュー一覧
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フリーライター
須永貴子
ド直球で「脱原発」を啓蒙する映画。登場人物の父親の、「間違った道だとわかっても変化せずに進み続け」て「安全よりも経済を選ぶ」キャラクターに、3・11以降不祥事を連発する、日本の現政権を蝕む病巣が凝縮されている。原発が日本に不要である理由を、「原発の危険性」と「代替エネルギーの可能性」の二本柱で説いていく。原発に関する膨大な情報が整理されていて、文字よりも映像で知識を得たい人にはおすすめだ。とはいえ、映像作品としての評価はまた別の話。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
原発等エネルギー問題に関心がある人には、恰好の映画だ。学校とか公民館などで子供たちに見せるといい。とても勉強になるだろう。が、原発推進丸出しのお国が、許すはずもない。MGMの創始者の一人で、アメリカ映画の良心と言われたサミュエル・ゴールドウィンの言葉を思い起こす。「メッセージを送りたいなら、ウェスタン・ユニオンに電話して、電報を打てばいい」。観客にあからさまなメッセージを送ると、胡散臭く見えてしまう。映画は厄介なものなのだ。
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映画評論家
吉田広明
原発賛否の国民投票で、原発依存の町の町議の一家が周囲の人々から学び、家族や職場の仲間同士で議論してゆく過程を通して原発の非を知らしめる作品。フクシマ出身という個人的な理由を除いても原発には反対の身だが、原発の原理、資源の現状、電力会社が政府に優遇され、その金で町を原発依存に成り下がらせている実態、なぜ日本にこれだけ原発があるのかその原因など、漠然としか知らなかったことに関して勉強になった。とはいえ映画というよりは学習ビデオという方が実態に近い。
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