クイーンズ・オブ・フィールドの映画専門家レビュー一覧

クイーンズ・オブ・フィールド

町のサッカーチームの危機に立ち上がった女性たちの奮闘を描くハートフルコメディ。北フランスのクルリエール。試合中の乱闘騒ぎで主力選手が出場停止になった伝統あるサッカーチームを救うため、男に代わって女性たちが選手として出場することになるが……。出演は「オーケストラ・クラス」のカド・メラッド、「君と歩く世界」のセリーヌ・サレット。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    以前調べたところ、サッカー関連映画の製作数が多いのは母国イングランドよりもドイツとフランス。フィクションで、日本語字幕が存在する作品(配信も含む)となると、おそらくフランスがトップ。そんな地に足のついたサッカー映画産出国だけあって、他愛のないコメディでありながらもディテールがしっかりしているのでしらけることがない。設定の疑問点にもちゃんとオチがつくのだが、そのあっさりした描写もいい。邦題は「フィールド」よりも「ピッチ」のほうが良かった。

  • ライター

    石村加奈

    宣伝では、主婦が強調されるが、シングルマザーや女子高生をはじめ、さまざまな女性が参加していることを、物語でもフィーチャーしてほしかった。例えば練習の後、気軽に飲みにも行けないほど、多忙な女性たちにどんな変化があって、パブへ繰り出すようになったのか? ドラマの鍵は、その辺りにあったのではないかとも。ざっくりと描かれる女性たちに比べて、ミミル(アルバン・イヴァノフ)がチャーミングで目が離せない。動作自体もレモネードを作るなど、おいしいポジションだ。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    伝統ある町のサッカーチームが乱闘を起こして選手全員がリーグ終盤で出場停止に。代わりに彼らの妻たちが選手として出場すると言い出すが……という筋書きを読んで想像することが全部起きる。でも楽しい。突っ込みどころもあるけど、最後まで笑って泣けちゃう。スポーツって良いなぁとも思う。ジェンダーについての問題提起もやりすぎず、ちゃんと笑いと共に盛り込む。ベタを正面から丁寧に仕上げ、観客に良い気分で劇場を出てもらう、という作り手の想いが伝わってくる作品だった。

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