白頭山大噴火の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
上島春彦
日本が絶対に韓国にたちうち出来ないのが、こういう「有事」映画である。白頭山は北の山だから地理上は結構南から遠いのだが、噴火の影響地震が頻発するのでチームが立ち上がる。北のエリート(高官スパイ)と南の雑草(爆弾処理班)、それぞれ思惑が違い、そのせいで道路から外れてバディ(ロード)ムーヴィみたいになる展開がいい。「PMC」ほどゲーム的じゃなく「南山の部長たち」ほど実録じゃない。だから先が読めそうで読めない。北がどう動いたか一切分からないのが可笑しいね。
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映画監督
宮崎大祐
北朝鮮の核弾頭を強奪し、それを阻止しようとするアメリカ軍をけちらし、最終的には中国との国境付近にある絶賛噴火中の火山地下にある炭鉱でその核弾頭を爆発させなければならないという、「アルマゲドン」の任務が朝飯前に思えるほど困難な任務をおおせつかった韓国の特殊部隊が北朝鮮の工作員と手を組んでピンチを切り抜けていく様子が説得力を持って迫ってくるのは、朝鮮半島の歴史・地政学的な背景はもちろんながら、韓国映画界のハリウッド・レベルの技術力があってこそ。
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映画執筆家
児玉美月
韓国を代表する名優たちによる共演と、豪勢な予算規模でのスペクタクルは及第点以上のカタルシスを与えてくれる。しかし冒頭の「安全すぎる」仕事からの導入と転調も含め、ハリウッド映画からの影響も色濃い正攻法な作劇により、既視感に苛まれ続ける。特に任務を命懸けで遂行する男主人公のエピソードと並行する形で出産間近の妻を配置する辺り、手垢が付きすぎでは。その意味で意欲を感じさせた直近の「新感染半島 ファイナル・ステージ」(20)等と比べると、どうしても見劣る。
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