くれなずめの映画専門家レビュー一覧
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フリーライター
須永貴子
成田凌が演じる吉尾がわりと早い段階で幽霊だと判明し、その意外性にワクワクした。その後、高校時代から始まるいくつかの回想シーンから、男子6人の関係性や吉尾の死にまつわる経緯が、徐々に明らかになっていく。現在時制で彼らは言い争いになるのだが、その感情や理由がいまひとつ伝わってこない。ノスタルジー系チーム男子映画特有の閉鎖的な空気感のせいか、街角で見かける他人事のよう。前田敦子が演じるミキエが彼らを喝破して、観客との架け橋になってはいるが。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
車とか家電とか農産物のように映画だって品質というものがあるはずである。ここのところの日本映画の品質の低下は取り返しがつかないところまできているという気がして仕方ない。絶望である。心の底に深い絶望を抱えた日本の若者は、意味もなくへらへらと空騒ぎするしかないのだ。この映画はそういう若者たちを描いている。笑えない。フェイクのつもりが、見え見えである。こんなことしていていいのだろうか。お隣の国の映画が目覚ましい躍進を遂げているというのに。
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映画評論家
吉田広明
結婚披露宴に出席した男たちが3時間後の二次会までの時間を持て余し、その宙づりの時間に死んだ仲間の一人と過ごした日々を回想する。特徴的なのはその死んだ仲間が皆の一人としてずっと一緒にいる点で、死んでいるのかいないのかの曖昧さが宙づりの時間と見合っている。開始70分のグダグダした時間、下らない会話はいいのだが、ではこの死者を最終的にどう始末するのか、つまり死者がいることの意味が問われると途端に映画は崩れだす。一番大事な筈の最後の20分が一番弱い。
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