21ブリッジの映画専門家レビュー一覧

21ブリッジ

2020年8月に亡くなったチャドウィック・ボーズマンが製作&主演を兼任したクライムアクション。ニューヨーク。大量のコカインを奪った2人組が、警察官8人を殺害して逃走。殺人課のアンドレ刑事は、麻薬取締班のフランキーと共に捜査を開始するが……。共演は「アメリカン・スナイパー」のシエナ・ミラー、「セッション」のJ・K・シモンズ。監督は『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズのブライアン・カーク。「アベンジャーズ/エンドゲーム」で監督を務めたジョー&アンソニーのルッソ兄弟が製作を担当する。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    逃亡中の警官殺しの犯人たちを捕えるために、マンハッタンと他の地区を結ぶ21の橋を封鎖。というのがタイトルの由来なのだが、そこに隠れたアイロニーが浮き上がる終盤のNYPD署長のセリフに息を呑んだ。「シビル・ウォー」で周到にレールを敷きながらも「アベンジャーズ」3作目4作目ではおざなりになってしまったブラックパンサーのボーズマンに、ルッソ兄弟が用意したのがドン・シーゲル的な硬質サスペンスという、作品外のストーリーにも痺れずにはいられない。

  • ライター

    石村加奈

    脚本に惚れ込んだチャドウィック・ボーズマンが、主演とプロデューサーを兼任。マンハッタンのロケーションの魅力をいかした画にワクワクする、クラシカルな都市型犯罪アクションだ。シエナ・ミラー、J・K・シモンズら、渋みのある役者陣の、重心の低いアクションも見応えがある。しかし見覚えのある展開のストーリーは、どんなに二転三転しても、ハラハラドキドキはしない。19年越しの主人公の正義がはっきりと見えないので、ラスボス・シモンズとの対峙シーンでも迫力に欠ける。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    限定された地域での一晩の事件というアクションサスペンスでおなじみの設定に加え、途中からだんだんオチが予想できてしまう警察官ものとしてはこれまたおなじみの逆転の展開。だが、最後まで緊張感が途切れなかったのは、名手P・キャメロンによる銃撃戦や追走劇の見せ方の巧みさもあるが、やはり主演チャドウィック・ボーズマンの存在感だろう。フィジカルの強さとアクションの軽やかさ、知的な佇まいと台詞回しは、改めて唯一無二だと実感。彼の主演として最後の雄姿に★+1。

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