エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケットの映画専門家レビュー一覧

エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット

ザ・クロマニヨンズ、OKAMOTO'Sなどのレコードジャケットを手がけるデザイナー、菅谷晋一の制作過程を記録したドキュメンタリー。デザインの専門教育を受けることなく、好きなことを追いかけて、人脈ゼロからデザイナーになった菅谷の姿を映し出す。監督は、「パッション」でぴあフィルムフェスティバル審査員特別賞を受賞した南部充俊。
  • 映画評論家

    北川れい子

    シンプルで親しみやすい図版。色使いも新鮮で愛嬌がある。菅谷晋一のことは今回、初めて知った。そのアトリエでの手作業をじっくり追いながら、彼と近しい関係にあるザ・クロマニヨンズのメンバーや、音楽関係者などに菅谷の世界を取材しているのだが、デザインや業界のことなど門外漢のこちらが観ても面白く、教わることも多々。南部監督の演出もさりげなく遊んでいて、スタジオの椅子に座って1人ずつ語るザ・クロマニヨンズの画像が菅谷的デザインを連想させるのも粋。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    昨年もっとも感銘を受けた広瀬奈々子監督の「つつんで、ひらいて」同様、菅谷晋一という創作者のことばと仕事ぶりをストイックにとらえていくことで、その表現の根本にあるコミュニケーション(人と人、人とことば、人と音楽のあいだでの)の思想を浮かび上がらせていく。ただし、「つつんで~」があくまで菊地信義の生活動線に沿って構成されていたのに対して、こちらは著名人・関係者へのインタビューをふんだんにちりばめた、より饒舌なつくり。どちらがよいかは好みだが。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    菅谷晋一の人と仕事、実に魅力的だ。同時代にこういう人がいて、こういうことをやっている。それを知った。とてもうれしい。南部監督がどの程度まで意識していたかはわからないが、デザイン論としてもここには発見がある。かつて映画が発展したときにそれまでの芸術に対してどれをも含みうることを誇ったのと同じような可能性と位置を、いまデザインは手に入れた。それが暗示的に語られ、画作りにもデザインの力が活用されている。題材的にそうでなければ困るが、音楽もいい。

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