妖怪大戦争 ガーディアンズの映画専門家レビュー一覧

妖怪大戦争 ガーディアンズ

特撮映画として人気を博した1968年の大映版から数えて三作目が登場。2005年版で監督を務めた三池崇史が再びメガホンを握る。製作総指揮は角川歴彦と荒俣宏。名子役の寺田心が妖怪獣を打ち倒す勇者に選ばれた主人公・渡辺ケイに扮し、世界の存亡をかけた戦いに挑む。誰もが知る有名妖怪をはじめ、映画オリジナルの妖怪、さらに世界中のモンスターも加わり、かつてないスケールで妖怪ワールドが繰り広げられる。その個性豊かな妖怪役は、謎多き剣士・狐面(きつねめん)の女に杉咲花、少年たちを優しく見守る姑獲鳥(うぶめ)に安藤サクラ、和歌山弁を操るひょうきんで酒好きな猩猩(しょうじょう)に大倉孝二、真面目だがどこか抜けている天狗に三浦貴大、恋心満載の雪女に大島優子、天邪鬼(あまのじゃく)に赤楚衛二、ケイを狙う鬼一族の長・茨木童子(いばらきどうじ)にSUMIRE、そして、人間嫌いの狸の総帥・隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)に大沢たかお、妖怪たちの総大将・ぬらりひょんに大森南朋が扮する。また、人間界キャストには、伝説の妖怪ハンター役に北村一輝、ケイの母役に松嶋菜々子、ケイの弟役に猪股怜生(いのまたれい)のほか、柄本明などのベテランも参加。令和版「妖怪大戦争」が繰り広げられる。
  • 映画評論家

    北川れい子

    まるで善悪を超えた妖怪たちの大カーニバル! 俳優たちが演じているのだから当然だが、コテコテのメイクとナリフリで登場するその妖怪たちが、みな人間くさいのもいい感じ。妖怪は人間の煩悩の変異形みたいな。超自然的現象の映像にはSFXも使っているが、美術やセットに手造りならではの愛嬌があるのも楽しい。ストーリーは神木隆之介が主演少年を演じた前作同様、天ならぬ妖怪も、自ら助くる者を助く、の路線。ただ欲を言えば、もう少し遊びと笑いが欲しかった。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    17年前の前作のときも疑問に感じたことだが、そもそもこの素材に三池崇史、はたして適任だろうか。子役の動かし方、情緒とおふざけのバランス、たとえば平山秀幸や金子修介だったらどうだろう、と夢想してしまう。キメるべきところでキマらず、アメコミ映画の出来のわるいパロディだけが空回り。役者陣の扮装は楽しめるが、安藤サクラや大倉孝二の妖怪は物語のなかでもっと活かせるはず。現実世界との接続も中途半端で、ファンタジーとしての層がいかにも浅い。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    小学五年生のケイと弟のダイが、妖怪たちのいる場所に引きずり込まれ、世界か日本かよくわからないがとにかく人間を「破滅」の危機から救う。子供向けの夏休みお化け映画だとしたら、原作の荒俣宏も脚本の渡辺雄介も三池監督も「童心」の詩がわかってないのが辛い。「兄弟愛」と「友だち意識」を便利に使うだけで、妖怪たちの造型、どれひとつとしてワクワクしない。人間はこの地球でひどいことをしてきた。戦っちゃダメ。耳をすまして相手の声を聞く。お題目がすべてむなしく響いた。

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