妖怪人間ベラの映画専門家レビュー一覧
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フリーライター
須永貴子
不穏な展開を予感させる意図的なロングショットや、『妖怪人間ベム』の「お蔵入りになった最終回」の謎に期待が高まる。まずは女子高生の沙織が、続いて広告代理店の康介が、ベラとの出会いを契機に狂っていく。2人の俳優による狂気の表現は力強く、特に森崎ウィンが演じる康介の、昆虫のように予測不能な動きが周囲に与える恐怖表現は発明の域。しかし、よくよく考えるとベラは何もしていないのに、2人は勝手に狂っていった。妖怪人間が人にどう作用したのかが最大の謎。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
テレビアニメの『妖怪人間ベム』が始まったのは、今から50年以上も前だが、いま妖怪人間女子のベラを主人公に蘇った。某女子高の転校生として教室に出現するベラ。顔を覆うような漆黒の前髪を垂らした刺すような目をしたベラ。それだけで、もうわくわくしてきた。友達を装った同級生の陰惨ないじめに心地よくしっぺ返し……と思いきや、話はベラに魂を奪われて凶暴なモンスターと化していく男の話になっていく。ベラをこそ見たかったのに、なんたる肩透かし! 残念、無念!!
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映画評論家
吉田広明
お蔵入り最終回に映っていたベラの、何か言っている口元。それが何だったのかという謎に始まり、旧帝国軍の施設に話が進む展開は、「女優霊」や「CURE」を連想させるが、実際脚本が立教系の人だった。ベラの哀しい物語になるのかと思いきや、ベラの周囲、特に最終回を掘り出そうとしたソフト会社の社員が狂気に陥り、家族を襲う「シャイニング」的展開。主人公の狂気演技が暑苦しく、「全員気が狂う」というキャッチなのだから彼にこだわらずもっとオムニバス的に展開してもよかった。
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