殺人狂騒曲 第9の生贄の映画専門家レビュー一覧

殺人狂騒曲 第9の生贄

19世紀を舞台にしたロシア製ミステリー。サンクトペテルブルクで、美女ばかりを狙った連続猟奇殺人事件が発生。犠牲者の体内から、魔術の印“ペンタグラム”が描かれた卵を発見した警部ロストフと相棒ガニンは、霊媒師オリヴィアに霊視を依頼するが……。出演は「ラフマニノフ ある愛の調べ」のエフゲニー・ツィガノフ、「アンダーワールド ブラッド・ウォーズ」のデイジー・ヘッド。「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」、「バーフバリ」シリーズのVFXを手掛けたFilm Direction FX社がVFXを担当している。監督は「アイスブレイカー 超巨大氷山崩落」のニコライ・ホメリキ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    『魔界探偵ゴーゴリ』シリーズがきっかけとなって、ロシア映画界でブームになっているというゴシックファンタジー。しかし、CGIのクオリティを云々する以前に、平場のシーンにおけるあまりにも人工的な照明、おざなりな劇伴(そもそも使用シーンが極端に少ない)、英国から呼ばれたデイジー・ヘッドの主役らしからぬ所在なさ、と映画としての筋の悪さが目立つ。きっと海外の人が『鋼の錬金術師』や『ジョジョの奇妙な冒険』の実写版を観たら、似たような気持ちになるのだろう。

  • ライター

    石村加奈

    猟奇的連続殺人事件の捜査に当たる、ロストフ警部(エフゲニー・ツィガノフ)と相棒のガニン(ドミトリー・リセンコフ)の関係性が雑すぎて、肝心の謎解きに集中できない。簡単に銃をぶっ放すガニンのヤバさとは対照的に、危険な場所へ行く時でさえ、銃を携帯しようとしないロストフ警部。そんな警部がついに銃を構える時……そこから始まる仄明るい未来と、事件の真相を知った後の不穏な余韻、アンバランスなラストをどう受け止めれば良いのか。まさか悪魔に試されているのだろうか。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    19世紀末、美女ばかり狙った猟奇的な連続殺人事件、というと場所はロンドンと相場が決まっている(?)のだが、本作の舞台は、サンクトペテルブルク。その馬車が闊歩しゴシック、バロックなど多様な様式の建築物が混在した街並みは妖しさに満ち、事件の異常性も申し分なく、サイコ・サスペンスとしての期待が高まる。だが、どうにも展開に緊張感がない。「魔術」をサスペンスの骨子にすると、謎の仕掛けは作りやすいが醍醐味が失われかねない、ということを改めて実感。

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