リスタートはただいまのあとでの映画専門家レビュー一覧

リスタートはただいまのあとで

ココミによるBLコミックを実写映画化。都会の生活に疲れ、10年ぶりに帰郷した孤塚光臣。近所で農園を営む熊井の養子・大和と出会い、ふさぎこんでいた光臣は彼に励まされる。そんな大和と過ごす中、光臣は次第に大和が自分にとって大切な存在だと気付き始め……。出演は「となりの怪物くん」の古川雄輝、「泣くな赤鬼」の竜星涼。監督は「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」などのプロデューサーを務めた井上竜太。
  • 映画評論家

    北川れい子

    「窮鼠は…」と同様、こちらもゲイとか同性愛とかいうことばは使われていない。プライドの高いUターン男子が、故郷で純朴で働き者の青年と出会い、友情以上の濃密な関係を求めるという、ボーイズラブ系の話。けれども話のチョーシが良すぎる。“BL”映画だからといって世間的な障害物を置く必要がないのは当然だが、どうも浮世離れのご都合主義。ロケ地と2人の周辺の人々の描き方がそれなりにしっかりしているだけに、逆に2人の関係が絶対的なヒミツで進行するように思えたり。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    一度は故郷を捨てた若者が、都会の冷たさに疲れて故郷へ舞い戻り、そこでの出逢いと経験を通じて生きる目標を見いだしていく――手垢のついた物語をいかに新鮮に見せるかが肝となる題材だが、パワハラ上司、頑固な家具職人の父親、いずれとの対立もステレオタイプの域を出ず。ゆえに「だめなままでいたくない」と述懐する主人公の苦悩もいまひとつ切実さに欠け、結局周囲を説得してOKという話にしか見えない。その安直さを同性愛要素で糊塗しようとする意図さえ感じてしまった。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    提示部で「ダニーボーイ」の音楽が流れ、こんな甘ったれたバカいるだろうかという感じの光臣が故郷に帰り、それを度のすぎるお人好しの大和が迎える。農業をはじめとする故郷にある「仕事」の大変さを本気で描きだせるかどうかも含め、前途に大不安を感じた。いい加減さは解消しないものの、光臣の大和への恋心が見えたところからそれを応援したい気持ちに。古川雄輝と竜星涼。二人の顔がいい。無理しない井上監督、それを活かした。微笑ましい。この日本語が久しぶりに浮かんだ。

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