タイムリミット 見知らぬ影の映画専門家レビュー一覧

タイムリミット 見知らぬ影

「パンドラム」のクリスティアン・アルヴァルトが贈るサスペンス・アクション。ある朝、子どもたちを学校に送り届ける途中のカールは、正体不明の男から車に爆弾を仕掛けたと脅迫電話を受ける。さらに、警察に誤解されたカールは、警官隊に包囲されてしまう。出演は「ピエロがお前を嘲笑う」のヴォータン・ヴィルケ・メーリング。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    「スピード」を髣髴させる畳み掛けアクション。ドイツが今更ハリウッド映画に追随する必要性が最大の謎。旧東西を縦横無尽に均一に滑走する自動車。物語はすべて車中で展開。主人公は都市の再生や成長を理想とするが、地上げ的建設会社のエリート。住居とは投機目的の金融商品。交渉も銀行業務(=バンキング=土木建設)もすべて携帯電話。そこに肉体性や人間関係が希薄化し、見えない都市化の加速が見える。犯罪に巻き込まれはじめて、親子の会話が実現。配信に適した映画。

  • フリーライター

    藤木TDC

    スペイン製カーアクションの佳作「暴走車 ランナウェイ・カー」(15年)のドイツ版リメイク。車のシート下へ密かに爆弾を仕掛けた犯人からスマホに身代金要求があり、走行しながら切迫する設定は案外新味なく、横軸に家族の再生を置くのも既視感。ジャーマン・アクションのエース監督の生真面目な演出で緊張は持続するが、ストレス発散で劇場へ来る観客はもっとブッ壊れた要素がないと淡泊に感じそう。前戯なしでラストまで爆走するオリジナルに較べると上品でやや緩慢な印象。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    最近はワンシチュエーションで押し通すサスペンス映画も多いのに、途中でメインキャラ以外の重要な脇役に、主眼を移していく手法は潔いというかイマドキらしくないというか。警察の組織のあり方や発言権、家族が崩壊している事実、あまりに万能すぎる犯人と前置きが十分でない動機、後半で突然登場するキャラなど、設定として諸々に破綻はある。ハラハラする作品が観たい層は軽い気持ちで挑めば良いかも。もう少し犯人像と、主人公が警察に詰められる展開に自然さが欲しかった。

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