ランボー ラスト・ブラッドの映画専門家レビュー一覧

ランボー ラスト・ブラッド

シルベスター・スタローンの代表作「ランボー」シリーズ最終章。元グリーンベレーのランボーは、古郷アリゾナで、古くからの友人マリアとその孫娘ガブリエラと平穏に暮らしていた。ところがガブリエラが人身売買カルテルに拉致され、ランボーは救出に向かう。出演は、「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」のパス・ヴェガ、「サンダー・ソード 聖杯と暗黒魔王の騎士団」のセルヒオ・ペリス・メンチェータ、「バベル」のアドリアナ・バラーサ、ドラマ『フォスター家の事情』のイヴェット・モンレアル、「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」のオスカル・ハエナダ。監督は、「キック・オーバー」のエイドリアン・グランバーグ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「エクスペンダブルズ」が軌道にのった今、わざわざこの錆びついたフランチャイズを引きずり出してきた意図は不明だが、中身は「ランボー」というより「96時間」。スタローンの映画人としての歩みが偉大であることは疑う余地がないが、ようやく安らぎを得た古き良きアメリカン・カントリー・ライフの対比として、トランプの時代にメキシコを欲と金にまみれた悪の巣窟として一方的に描くこの鈍感さこそが、ランボーイズムの継承ということか。唐突なゴア描写は新鮮味があった。

  • ライター

    石村加奈

    史上最悪の残虐描写がいまだ鮮烈に記憶に残るが、12年ぶり!のシリーズ5作目となる本作(監督はA・グランバーグへバトンタッチ)。爺さんになっても、アンチヒーロー・ランボーの絶望は薄れることなく「一生悲しみは続く」のだ(否応なく巻き込まれるカルメンに、詰め寄るランボーの言葉の重さ!)。余念ない準備が見事に結実する、ラストの復讐戦では、ラスボス以外の人体破壊描写に一切のカタルシスがない分、スーパーソルジャー、ランボーの揺るぎなさを頼もしく感じた。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    スタローンは、アメリカとそこに生まれた個人、その栄光と凋落を体現し続けている稀なスターで、ロッキーは彼自身の生き様と重なり、ランボーは近代アメリカ史の負の象徴だ。前作のラストでランボーは裏切られ続けた故国に戻り、これ以上ないシリーズの終焉を迎えたのだが、過酷な運命は彼をまたも戦場へと駆り出す。一時代を築いたモノにしか許されない大いなる蛇足。だが、老いてなお泥臭い“らしさ”全開で、どう思われようが「やれるからやる」を貫く姿にやはりグッとくる。

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