悲しみより、もっと悲しい物語の映画専門家レビュー一覧

悲しみより、もっと悲しい物語

2009年の韓国映画「悲しみよりもっと悲しい物語」を台湾の新鋭ギャビン・リンがリメイクしたラブストーリー。同じ孤独と悲しみを抱え、一緒に暮らすKとクリーム。友だち以上恋人未満の関係を続ける2人だったが、Kにはクリームに言えない秘密があった。出演は『恋する、おひとり様』のリウ・イーハオ、「軍中楽園」のアイビー・チェン。2018年の台湾国内ナンバーワンヒット作。
  • 映画評論家

    小野寺系

    いわゆる「キラキラ映画」と呼ばれる系統の作品だが、その枠の中で、職人的にオシャレな映像でときめきを作ってきたギャビン・リン監督の丁寧な仕事には感心させられる。なかでも学校生活をみずみずしく撮るところは台湾映画の華。煙草のけむりを使った間接キスをする出会いの場面が圧倒的にいい。その一方で、“難病”や“報われない愛”など、使い古された要素で涙を誘おうとする物語は、「そういうもの」とはいいながら、あまりに安易すぎるように感じられ、興をそがれてしまう。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    身寄りのない若い男女が一緒に暮らし(理解が追いつかない点もあるが)、互いに愛を感じるが片方が難病を患い……。いわゆる古今東西、泣ける恋愛映画の一つの王道を確立しているシチュエイション。そのうえで描かれる独善の愛。自分の死後、自分の代わりに相手を幸せにできる男性を準備する。片や、そんな相手の気持ちを汲み取り、不本意ながら準備された男性と結婚する。二人のこうした独善に共鳴できるかが、評価の分岐点。話を過剰に作った結果であろう、捉えどころが希薄な物語。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    ウンウン、悲しい嘘をつき合う二人の姿は悲しみよりもっと悲しいね……って、ちょっと待ておい! 二人の手前勝手な悲恋物語に利用されて人生狂わされたアイツはもっともっと悲しいだろうて……なぞ思ったものの、キラキラ映画的には間違いではないのだろうし、こういう一定層を狙ったジャンル映画にとっては、ターゲット外の者がエラそうに論じる言葉よりも、試写室のそこかしこから漏れ聞こえた嗚咽の方が重要であり、こんなことしか書けない自分はもっとも悲しい人間なのだろう。

1 - 3件表示/全3件