コロンバスの映画専門家レビュー一覧

コロンバス

モダニズム建築の宝庫として知られるインディアナ州コロンバスを舞台にした人間ドラマ。建築学者の父を見舞うためコロンバスを訪れたジンは、地元の図書館で働くケイシーと出会う。対照的な二人は、建築を巡り、語ることで、新たな人生に向かって歩き始める。監督・脚本・編集は、本作が長編デビュー作となるコゴナダ。出演は、「search/サーチ」のジョン・チョー、「スプリット」のヘイリー・ルー・リチャードソン。サンダンス映画祭2017をはじめ23の映画祭にノミネートされ、8冠を獲得。
  • ライター

    石村加奈

    計算された構図、無音の使い方、巧みな編集、随所に小津安二郎監督の気配がある。いつの間にか自分の人生の探求をやめて、母との生活に満足しようとしていた少女の前に現れた旅人。美しい建物について、平易な説明ではなく「君が感動した理由が聞きたい」と言ってくれる(ロマンチックなシーン!)他者との出会いから、柵を越えて育まれる二人の関係そして少女の自立を、緑と雨の豊かな街が祝福する。「非対称ながらバランスを保つ」少女ケイシーをH・L・リチャードソンが好演。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    監督のコゴナダは、ブレッソンやヒッチコック、そして小津の研究者でもあるので、構図、人物造形、構成など、シネフィル的な要素に満ち溢れている。それが鼻につかず、楽しめたのは偏に「愛」が感じられるからで、舞台がモダニズム建築の宝庫、コロンバスというのも大きい。登場する数々の美しい建造物は雄弁で、「不在」を意識したこの物語の主役といっても良いくらいだ。そもそも建築と映画というのはその構造が似ているので相性は良いのかな、と(制作現場は〇〇組だし。笑)。

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