ミッドウェイ(2019)の映画専門家レビュー一覧

ミッドウェイ(2019)

第二次世界大戦のなかでも激戦として知られるミッドウェイ海戦を「インデペンデンス・デイ」のR・エメリッヒ監督が映画化。日本軍による真珠湾への奇襲攻撃で打撃を受けた米軍は情報戦に注力。情報部のレイトン少佐が、次の目的地をミッドウェイと分析する。出演は、「デッドプール」のエド・スクライン、「アクアマン」のパトリック・ウィルソン、「ANNA アナ」のルーク・エヴァンス、「パラダイス・ネクスト」の豊川悦司、「狼煙が呼ぶ」の浅野忠信、「哭声/コクソン」の國村隼。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「ダンケルク」や「1917」の時代(本作のアメリカ公開は19年)に、ハリウッド大作のバジェット規模で、CGでの空中戦(それ自体はよく出来ているが)や戦勝国の軍人とその家族のベタなメロドラマを描いた戦争映画の企画がスルスルと通ったことに驚かされる。技術的に一定の水準に満たない作品以外に★一つはつけないようにしているが、本作の★一つはその企画の謎としか思えない鈍感さに対して。今さらエメリッヒ作品に多くのことは求めはしないが、それにしても。

  • ライター

    石村加奈

    エメリッヒ監督が、ドイツ人の責任感をもって描いたミッドウェイ海戦。20年かけた渾身作は「戦争は伝染する」という冒頭のメッセージから、最後の「海は全てを覚えている」まで、冷徹な視点で、報われない戦争を描く。真珠湾で、若い米軍兵士が目にする阿鼻叫喚の地獄図が圧巻だ。彼が体感した死への恐怖が画面から迫ってくる。仲間を信じ奇跡を祈る、祖国への愛が、傷つけられた仲間の復讐心を煽り、敵軍への想像力を失わせていく不条理。浅野忠信らのキャスティングは独特で新鮮だ。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    第二次世界大戦前夜、東京での山本五十六と後のアメリカ軍情報主任参謀・レイトンの対話から始まるので、双方の視点から描かれるミッドウェイ海戦を期待したが、やはりアメリカ側の英雄譚的展開が軸で、日本側は(敬意は感じるが)付け足された印象。戦艦、艦上機はリアルに再現、戦闘はエメリッヒ印なスペクタクルで、情報を巡る攻防戦としては物足りなかった。多数の実在の人物、実際の出来事を描いているが、コンパクトにまとめた過ぎた感もあり、あと30分長くても良かった。

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