前田建設ファンタジー営業部の映画専門家レビュー一覧

前田建設ファンタジー営業部

アニメやゲームの世界の構造物を実際に建設したらどうなるかを検証する、実在する企業のブログを映画化。バブル崩壊後の建設業界。広報グループの若手社員・土井は、アニメ『マジンガーZ』の地下格納庫兼プールの実現を検証するウェブ連載を担当することに。出演は、「見えない目撃者」の高杉真宙。脚本は、「ペンギン・ハイウェイ」の上田誠。監督は、「映画 賭ケグルイ」の英勉。
  • 映画評論家

    川口敦子

    失礼を承知で言えば意外にいいじゃない!! と「『実話』から生まれた積算エンターテイメント!」なる惹句を目にした折の悪い予感をうれしく裏切られた。ファンタジー営業部が実在したという“狐につままれた感”満載の一作だが、嫌々だった部員たちが熱く企画に没入する過程をきちんと捕まえた脚本が勝因だ。昨今の米映画に特徴的なくっきりとショットを成立させない開幕部のオフィス描写と裏腹に、人の心は輪郭を際立たせて描き込む。演劇臭を逆手にとった演技陣も悪くない。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    アヴァンタイトル、スーツを着た小木博明が死ぬほどうざいテンションで「マジンガーZ」の話をし始めた時点で、タクシーの車内でよく観るビジネスマン向けCMを思い起こしたが、驚いたことにタイトルが出たあともそのノリのまま映画は進んでいく。状況をわかりすく戯画化したり、人物のリアクションにいちいち効果音をかぶせたり、一見テンポは速いが実際にはおそろしく弛緩した出来のわるいコントが延々つづきゲッソリ。岸井ゆきのの「間」にかろうじて映画の片鱗が見える。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    やる気のなさそうな連中が徐々に「困難な課題」に対して真剣になっていく。おなじみすぎるパターンであるが、それ以外にも名作の名場面のパロディーかと思わせるものが出てくる。そのあたり、わざとらしさに目をつむって、ショウケース的に楽しめるかもしれない。元は上田誠の戯曲。その元はなんと実話。英監督、演技の均質性が破れるのを回避しているようなのが惜しい。音楽も鳴らしすぎ。おもしろかったのは、岸井ゆきのと町田啓太のカップルと、六角精児の機械グループ部長。

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