COMPLY+-ANCE(コンプライアンス)の映画専門家レビュー一覧

COMPLY+-ANCE(コンプライアンス)

俳優の斎藤工が、企画・原案・撮影・脚本・監督などを務め、“コンプライアンス”をテーマに“日本における表現の限界”に挑んだ作品。齊藤の思いに共鳴した監督やアーティストが集い、音楽、実写、人形アニメーションなど、あらゆる表現が用いられている。出演は「カメラを止めるな!」の秋山ゆずき、お笑いコンビ“アルコ&ピース”の平子祐希(「スプリング、ハズ、カム」)。ゲスト監督に、「聖なるもの」の岩切一空、『フォーカード』などの人形アニメーション作家・飯塚貴士が参加している。
  • 映画評論家

    川口敦子

    20年1月24日の試写の時点で、未完ゆえ公開時には別のものとなっている可能性もといった前口上があり、それでは見ても評しても空しくはないかしらとちょっとムッとし、しかし鑑賞後にはぜひ別のものになってと切望した。同じく斎藤工が企画・製作した「MANRIKI」の時にも感じたことだが、思いつきだけ、仲間内の盛り上がりだけで形にした何かを映画とは断固、認めたくない。自己規制に縛られた世界の今を撃つ志を伝える術を練って欲しい。ノーといえる仲間をみつけて欲しい。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    岩切一空監督のパート。「聖なるもの」でも瞠目させられたワンショットの吸引力、今回も健在。このパートが最後にきていたら、全体の印象はもっとよくなったような気がする。それくらい残りの時間は苦痛だった。とくに齊藤工監督のラストパートは、このテーマに対して、考えうるかぎりもっとも凡庸なアプローチをしているとしか思えない。これなら80年代のコントビデオにはるかに斬新なものがいくつもあったし、それこそ影響を与えたらしいスネークマンショーの洗練とは程遠い。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    七〇分。キズ入りフィルムを装うなどのイメージ部分を除くと正味どのくらいか。この短さで、構成が雑だ。齊藤工は総監督、一部を撮っただけで、ゲスト監督がオムニバス的に仕事している。監督ってどういうものだと思っているのか。自主規制のアホらしさがテーマ。それを笑う前にすべきことが多々ありそうだ。メディアと現在にぶつかって風刺や抗議を成立させるための、この世界への愛がなさすぎる。相対的に、インタビューされるタレントを演じる秋山ゆずきに「経験」を感じた。

1 - 3件表示/全3件