新解釈・三國志の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
北川れい子
ハシャギまくって、じゃれあって、ご機嫌で盛り上がっているのは、ご大層なコスチュームの出演者連と福田監督だけ。近年これほど味も塩っけもないハリボテ映画は観たことない。“新解釈”だって? 「三國志」のおなじみのキャラクターたちをいじくり回し、ただ遊んでいるだけ。福田雄一の破壊力のあるコメディは「銀魂」シリーズほか、それなりに楽しんできたクチだが、今回は観客を置いてきぼりにして映画が勝手にワルノリ暴走、観ているこちらも、片っ端から忘れて大正解だ。
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編集者、ライター
佐野亨
この映画の逐一がいっさい面白くない、どころか不快きわまりないのは相性の問題であるとしても、ネタの一つひとつがことごとく内輪の頷き合いのうちに自閉している他者不在の世界観には「いい大人が……」と背筋が寒くなった。『カノッサの屈辱』のパロディとおぼしき西田敏行の語りが象徴的だが、80年代面白主義からいささかも進歩していない(どころかぎりぎりあった批評性すら捨象した)作り手のセンスに?然とする。大泉洋も持ち前のコメディセンスが生かせず息苦しそうだ。
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詩人、映画監督
福間健二
福田監督、今回も「ハズレなし」の自信作だろうか。大泉洋でなければ困ってしまいそうな、まさに新解釈のいいかげんな劉備。いまの日本人的普通さと口だけの正論「民のよろこぶ顔が見たい」でなんとか乗り切ろう、なのかと思うが、本当はこうだった、本音はこうだったとするふざけ方がワンパターン。バカにしすぎと腹を立てるほどではないとしても、退屈した。男性よりも女性の方がしっかりしている。その点でも、もっと痛快に現代性を持ち込む作家金庸の武?小説に学んでいない。
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