ブリット=マリーの幸せなひとりだちの映画専門家レビュー一覧

ブリット=マリーの幸せなひとりだち

「幸せなひとりぼっち」の原作者F・バックマンの小説『ブリット=マリーはここにいた』を映画化。結婚して40年、家事を完璧にこなすだけの毎日で笑顔を忘れていた63歳の専業主婦ブリット=マリー。ある日、夫に愛人がいることが分かると、家を飛び出す。監督は、「食べて、祈って、恋をして」などに出演する女優ツヴァ・ノヴォトニー。出演は、「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」のペルニラ・アウグスト。
  • 映画評論家

    小野寺系

    サッカーを知らない63歳の女性が、突然田舎町の子どもたちにサッカーを教えるコーチに就任するという、場違いな展開が面白い作品だが、物語が進むにつれ、だんだん設定に無理が出てくるのは否めない。そこは、フワフワした雰囲気の原作を実写映画化したところにも原因がありそうだ。「スター・ウォーズ」シリーズの役が素晴らしかったペルニラ・アウグストを主演に、自立心の成長を描く試みそのものは共感できるが、今回の役には特別応援したくなるほどの魅力を感じなかった。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    福祉国家スウェーデンでも、結婚してこの方、専業主婦を貫いた63歳ヒロインに、仕事がそう簡単に見つかるはずはあるまい。でも彼女の自立ありきの物語ではない。なので村の寂れた施設の管理人の仕事も、任された少年サッカーチームのコーチも、初期段階でこそ突飛な設定に感じるが、ニュートラルな立ち位置で、守るべき価値観を守りながら変わるべき自分を受容する柔軟さに共感する。その意味で邦題よりも、原作と同じ原題「ブリット=マリーはここにいた」が、主題にしっくりくる。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    折り目正しい生活に誇りを持っている60過ぎの女性が夫の浮気をきっかけに自立し、新しい人生を踏み出すという物語が開始数分ではっきりと輪郭を見せるストーリー捌きはお見事なもので、全篇通して淀むことがないスッキリ観やすい大衆娯楽映画ではあるのだが、このテンポ感を生み出しているモノローグ、モンタージュ、音楽の多用が諸刃の剣となり肝要なところまでもを流してしまっている印象で、終盤の少年サッカーの試合シーンのカタルシス不足の誘因にもなっているように感じた。

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