るろうに剣心 最終章 The Beginningの映画専門家レビュー一覧

るろうに剣心 最終章 The Beginning

少年ジャンプで連載された『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の『人誅編』をベースにした、実写時代劇シリーズ最終章。激動の幕末に人斬り抜刀斎と恐れられた緋村剣心が不殺(ころさず)の誓いを立てた理由、そして彼の頬に刻まれた十字傷の背景とは……。第4作目までに引き続き、大友啓史監督ら製作陣や緋村剣心役の佐藤健らキャスト陣が集結。「るろうに剣心」シリーズの始まりを描く。
  • 映画評論家

    北川れい子

    話を総花的に広げすぎた上に、乱暴狼藉ふうの集団アクションばかりが目立っていた「The Final」より、人斬り剣心の孤独と闇に迫った今回のほうがずっと面白い。幕府側の者なら誰かれなく斬って斬って斬りまくり、血まみれの死体の山。何が彼をそうさせたか。剣は得意だが何者でもない自分を何かにしたいという野心と欲望? 倒幕派の桂小五郎らはその野心を暗殺者として利用する。妻となる巴絡みの伏線も効果的で、愛は剣より強し。剣心と巴が農作業をするくだりはまるでおままごと。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    「The Final」で明かされた過去を律義にたどっているというだけでなく、ことごとく型通りの愛憎劇でしかない「アリバイ」的な前日譚。絶えず鳴り響くジャーン調の劇伴にうんざりする。俳優のたたずまいも、業を背負っている人間にはとても見えず、なにやらもってまわった深刻さに終始して、ふくらみがない。あとはアクションシーン頼りということになるが、剣戟は中途半端に終わってしまい、後半はVFXと爆発の繰り返し。最後までこのシリーズとは相性がわるかった。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    佐藤健演じる剣心、なぜそんな殺人機械なのか。「The Beginning」ならそこからやってほしい。勤皇側が勝利して「いい時代」が来る。その助けになれば、と斬りまくるのはしかたないとしても、その超人性と人間性との連絡は不十分なまま。有村架純演じる巴との?末は、「The Final」で大体わかったことが引きのばされている。わかっていても驚かされるというほどのことにはならない。大友監督たちは、歴史、すなわち明治維新への批評的挑戦を試みる意欲を欠く。剣心以外の人物に魅力がない。

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