巡礼の約束の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
小野寺系
身体すべてを地に投げ出す礼拝方法“五体投地”を絶えず繰り返しながら四川省からチベット自治区の聖地まで進んでいくという途方もなさに、「旅の重さ」なんてものじゃない重量を感じさせ、一種のロマンをかき立てられる。それと同時に、ここで描かれる人間同士の軋轢は、あくまでコミュニケーションで解決しなければならず、宗教的行為に対する冷静な視線があるのが現代的でいい。シンプルな内容ながら 「チベット映画人第1世代」監督の仕事として信頼できる出来。
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映画評論家
きさらぎ尚
ソンタルジャ監督は、登場人物一人ひとりの心の内を描くのがうまい。前作「草原の河」に続いて今回も、家族関係のギクシャクを描出。夫亡き後、一人息子を実家に預けて再婚したヒロイン。置いていかれた息子。現夫の、口にできないわだかまり。それをチベットの圧倒的な風景に映しこんであぶり出すセンスは独特。ヒロインが前夫と撮った写真の使い方が秀逸で、破いて二人を別々にした現夫の心情は切ない。家族を失うことから生まれたこの新しい父子の関係は輪廻に通じ、息子役が上手い。
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映画監督、脚本家
城定秀夫
「五体投地」なる巡礼作法がなかなかに意表をつくもので、何の説明もなく唐突にアレを見せられる序盤でこの映画に俄然興味がわいたのも束の間、その後続く起伏に乏しい物語にはまぶたが重たくなってくるのだが、頃合いを見計らったようにカンカンズサーってアレをやるもんだから、それがだんだんクセになってきて、結果この不思議な味わいのロードムービーを最後まで楽しみ、しみじみとした余韻に浸ることができた。というわけで、カンカンズサーが何なのかは実際映画で見てほしい。
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