「マルタ島攻防戦」のストーリー
第二次世界大戦中。航空写真偵察の名手、イギリス空軍中尉ピーター・ロス(アレック・ギネス)らの乗ったカイロへ向う輸送機は燃料補給のためマルタ島の英軍基地に着陸したところを独空軍に爆撃されて炎上し、足を奪われたロスはマルタ基地に配属されることになった。そのころ、イギリスは最大の努力を払ってマルタ島を確保しようとしていた。ここを奪われると地中海全域の制空権を失いアフリカのロムメル軍が俄然有利となるからだ。ロスは偵察飛行に出たとき、航空司令(ジャック・ホーキンス)の命を冒してイタリア南部を飛び、軍法会議にかけられそうになったが、彼の撮影したフィルムにはマルタ進攻を目指すグライダー満載の貨車群が写っており、首脳部は緊迫した空気に満たされた。マルタ島での彼我の応酬は日ごとに激しさを加え、イギリスは米空母からスピットファイア機の空輸を敢行して攻撃態勢を整えた。ロスはある空襲の最中、作戦室に勤務するマリア(ミュリエル・パヴロウ)と知りあい、恋におちた。ロスは同僚バートレット(アンソニー・スティール)に相談した。バートレットも作戦室勤務のジョーン(ルネ・アシャーソン)と恋仲だが、戦争が終るまでは結婚しないといった。マリアの母もこれと同じ意見だった。ある日、枢軸側の油槽船が大挙して北アフリカへ向ったニュースが入った。この船団が無事につけばロムメルが勝つ。航空司令から船団発見の命をうけたロスは単機密雲を縫って偵察に出かけ、行動範囲をはずれるかと思われるところまで足を伸したが、密雲が災いしてか船団を発見することができなかった。これまでと引返しかけたとき、雲の切れ目から遂に船団を発見した。ロスは直ちに船団の位置を司令部に打電したが、そのため敵戦闘機に発見され、あえなく撃墜された。やがて来た勝利の日、人々の歓喜をよそに、マリアは一人思い出の海岸に立ちつくしていた。