「歓呼の涯」のストーリー

スラッグは表面石のように頑固な乱暴者だが実は人間味豊かな好漢である。彼の強さはボクシング界でも一寸鳴らす程のものだったがある時酒を飲みすぎて学生選手にノックアウトされマネージャーのピンをいたく失望させた。ピンがこの試合による上りをすっかり当てにしていたのを知るとお人好しのスラッグは気の毒になり、情婦のパフから金を借りてやろうとする。がピンの不実な正確を見抜く彼女はその申し出をキッパリとはねつけてしまった。その腹イセにピンは彼のギャングにパフの経営する酒場を襲わせたのでスラッグとパフはものすごい騒動の主演者となった。ピンはいまは万策つきボクシング場の金庫を破ろうとしてその場に倒される。仲間からの急報によりそのことを知ったスラッグは例へ裏切られてもかつては友達であった彼に罪人の汚名を被せるに忍びず、ひそかに屍体を彼の部屋に運び込んでおいたので検屍の役人は彼の死を自殺と発表した。死んだピンに当てた暗号電報によってスラッグとパフは一騒動起こると覚悟していたが、二人の前に現れたのはピン一味のキャングでなく、今は孤児となったピンの一人息子のテッドであった。スラッグと同じく人情の熱いパフはこの身寄のない子供を引き取って育てることにした。月日はたった。テッドをひきっとって以来パフは酒場をやめた。スラッグも今は勤め人である。けれどもまだ時々襲名を使っては不本意にもリングに現れテッドを教育するための資料を儲けていた。二人は華やかだった昔の生活を忘れかね、いつか一度はニューヨークに帰りたいと思うこともあるがテッドを手放さねばならぬことを考えて思い止まるのであった。テッドは立派に成人し、すすめられるままにボクシング界に身を投じようとするが苦い経験を持つスラッグとパフは絶対に反対する。テッドの強性に耐りかめたスラッグは終に彼に一撃を喰わすが反って旺んなテッドの腕力に朴される。この時はじめてパフはテッドのために半生を捧げて北スラッグの苦労を明かした。初めて知る育ての親の情に感じたテッドは彼ら二人こそは世に類なき真の紳士であり淑女であり、また人の親であることを悟り今は断然ボクシング入りを思い止まる。スラッグとパフはテッドの願いによって彼を正式に養子とするために改めて牧師の前に夫婦の地階を固めたのである。