「SOS氷山(1933・アメリカ)」のストーリー

カール・ローレンス博士を隊長として総員5名よりなる探検隊は、ベルリンを出発してグリーンランドへ向かった。一行の目的は不幸にも極地の犠牲となったウェゲナー探検隊が残しているに違いない所の貴重なる探検記録を探し出すことにあった。一行は隊長ローレンス博士、ブランド博士、フリッツ・ケンメル、ジョン・ドレイガンの5名で、途中はさしたる患難にもあわず極北の高原を進んだ。遂に一行は危険な氷原地帯に到着し、経験厚い連中の制止にも拘らず、征服欲に燃ゆるローレンス博士は峡湾の割れやすい氷の危険をも嫌はなかった。かくて一夜、隊員の目を盗んで博士は2頭立ての犬そり1台に運命を託してキャンプを後に出発した。時過ぎて1人のイヌイットが、ローレンス博士のそりの破片とおぼしきものを携えて、キャンプの傍らを通った。探検隊次長のブランド博士はローレンス捜索のために直ちに出発すべき事を命じた。一行の金主である富豪のスポーツマン、ジョン・ドレイガンはローレンスの生存は望み得べからざることと主張して不服を唱えたが、マツシェク博士とケンメルは彼の説を無視して、直ちに出発準備に着手したので、ドレイガンもやむなく行を共にすることとなった。一行は数回に渡って吹雪に遭い、一頭の犬と1台のそりを余すほか、命だけを拾ったにすぎないという危険な旅を続けた。それでもラジオだけは失わなかったのが不幸中の幸いであった。飢えて疲労しきって、一行はリンクス氷河の縁辺に到着した。この氷河は海抜1500尺、広さ18哩に達する大氷河で、巨大な氷山が幾つか出来て流れ去るのを一行は目撃した。一行はまた峡湾の辺に石小屋を発見し、そこにウェゲナー探検隊が滞在した証跡を見出だし、またローレンス博士のイヌイット集落を訪ねて峡湾を横断して行くという手紙が小屋の中に置いてあった。4名は餓死におびえながら、氷の浮片に運命を託して峡湾を横断しようと試みた。そして奇跡的に大氷山に乗り移ることができたが、そこにはやはり飢えて瀕死のローレンス博士が横たわっていた。ブラント博士はラジオを以てSOSを発した。飛行家として敏腕のローレンス夫人はSOSを接受するや、直ちにベルリンから救助のために飛行機を飛ばせた。一方飢餓に半狂乱となったドレイガンは犬を殺して食べようとした。それを妨げようとしたケンメルは氷山の端から突き落とされて惨死した。またマツシェク博士は北極熊の犠牲となった。ケンメルを殺してしまったドレイガンは正気に返るや、自らも同じ場所で自殺して果てた。ローレンス夫人は氷山に着陸することに成功したが機は大破してしまった。次いで救助に来たドイツの名飛行家ウデットは無事に氷山に着陸することができ、ローレンス夫妻と単身イヌイット集落を探しに赴いたブランド博士とを発見して、救うことに成功した。ローレンス夫妻とブランド博士はお互いに幸福を喜び合うのだった。