「しあわせのマスカット」のストーリー

北海道から岡山に修学旅行で来ていた女子高生の相馬春奈(福本莉子)は、岡山の名産であるマスカット・オブ・アレキサンドリアを病床のおばあちゃんのお土産にしようとしていた矢先、財布を落としてしまう。手元に残っていたお金で買える金額ではなく、諦めかけた時に目に入ったのが、そのマスカットを使った果実和菓子「陸乃宝珠」だった。そのたった一つの和菓子が病床のおばあちゃんを喜ばせたことをきっかけに、春奈はこの和菓子を作った会社に就職しようと考える。だが、面接に遅刻してしまい、不合格になってしまう。その後、社長の田岡(長谷川初範)の一存で入社することができた春奈は自分がデザインした和菓子を作ることを目標にする。ほどなく配属されたのは会社と提携しているぶどう農園だった。園主の秋吉伸介(竹中直人)は仕事に厳しく頑固で、手伝いに来た春奈を冷たくあしらうが、彼女はそれにもめげず認められようと頑張り、次第に距離が縮まっていく。ある日、伸介の妻よし(土屋裕子)から、10年前に事故で亡くなった息子のマスカット園を守り続けていたが、それを整理した上でマスカットの生産をやめることを聞く。近所に住む若手農家の屋敷達也(中河内雅貴)と知り合った春奈は、そのビニールハウスを教えてもらい、なんとか存続させることを伸介に話すが、拒否された上に明日からこないように宣言されてしまう。落ち込んだ春奈は、彼女に会いにやって来た姉の雪絵(本仮屋ユイカ)からも実家に帰って来るように諭され、ついに退職を決意する。そんななか、西日本豪雨による未曾有の大水害が起こる。