「トム・オブ・フィンランド」のストーリー

第二次世界大戦後のフィンランド。帰還兵のトウコ・ラークソネン(ペッカ・ストラング)は日々、施錠した自室で密かに、戦場で出会った男たちの逞しい姿を描き続けていた。同性愛が法律で禁じられていた当時、警察の取り締まりに怯えながら夜の公園でセックスの相手を探すか、自分でファンタジーを作り出す以外、トウコには欲望を発散する方法がなかったのだ。そんなある日、妹のカイヤ(ジェシカ・グラボウスキー)から、広告の絵を描く仕事を紹介されたトウコは、たちまち才能を発揮。昼は広告、夜は作品作りに没頭する暮らしが始まる。当初からのモチーフである肉体労働者や兵士に加え、流行りのバイカーファッションなどを取り入れ、その作品はさらに進化。アンダーグラウンドの同性愛者コミュニティで支持されるようになる。その中には、後にトウコの生涯の恋人となるダンサーのヴェリ・マキネン(ラウリ・ティルカネン)もいた。そして1957年、転機が訪れる。アメリカのフィットネス雑誌に送ったトウコの絵が表紙を飾ったのだ。“トム・オブ・フィンランド”の作家名で掲載されたその絵は、社会がゲイの男性たちに押し付けてきた従来のひ弱なイメージと異なり、数多くの当事者が理想とするポジティブな男性像そのものだった。やがて、トム・オブ・フィンランドの絵に共鳴する人の輪は国境を越えて広がり、1978年、トウコは支持者の1人、ダグからアメリカに招待される。サンフランシスコとニューヨークで行われた展覧会はいずれも大成功。かつてないほどの解放感を味わったトウコは帰国後、自由に生きる権利についてヴェリに熱弁を振るう。だが、間もなくヴェリは病気で帰らぬ人に。数年後のアメリカ。エイズが流行し、同性愛者に対するバッシングが激化する中、ゲイカルチャーを先導する立場となったトム・オブ・フィンランドことトウコは、仲間の前に堂々と現れ、自由とプライドの意味を問いかける……。

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