「さまよう獣」のストーリー

豊かな自然に恵まれた田舎の村。ある日突然、都会からやってきて、田舎のバス停に降り立ったキヨミ(山崎真実)は、老女キヌ(森康子)に拾われる。過去を語ろうとしないキヨミは、孫同然のマサル(波岡一喜)と3人で囲む食卓で、どう振舞えばいいのか分からない。作家を夢見ながらも、牛の世話をしているシンジ(山岸門人)には“気持ちが楽になります”、一生トマトの栽培だけで終わるかもしれないタツヤ(渋川清彦)には“元気になる”と言って、その気もないのに男たちを喜ばせてしまう。身も心もはちきれんばかりの男たち。開け放した風呂場の窓から彼女の下着姿を見てしまったマサルはドギマギするしかない。穏やかだった村は動揺し始めるが、日々の食卓は続く。そんな折、キヌが倒れ、キヨミを追って男が乗り込んでくる……。