「友よ、風に抱かれて」のストーリー

1968年、ヴェトナム戦争たけなわの頃のバージニア州フォート・マイヤーの陸軍基地では、戦死者をアーリントン国立墓地に埋葬する儀式を司るために若く優秀な新兵を訓練していた。第3歩兵隊と呼ばれ、戦時には毎日十数名もの戦死者を葬る名誉ある任務は、アメリカの兵士の憧れの的だった。ある日、この基地に配属されて来たジャッキー・ウィロー(D・B・スウィーニー)を迎えたのは、クレル・ハザード曹長(ジェームズ・カーン)と、黒人のネルソン上級曹長(ジェームズ・R・ジョーンズ)だ。ウィローは、墓を守るよりも祖国のためにヴェトナムで戦いたいと主張するが、戦争にうんざりしているハザードもネルソンも戸惑うばかりだった。そのハザードにはワシントン・ポストの女性記者で、平和運動家として知られるサマンサ・デイヴィス(アンジェリカ・ヒューストン)という恋人がいた。また戦争に悲観的なハザードに、上官のトーマス大尉(ディーン・ストックウェル)は「軍人に主義主張は不要だ」と忠告する。一方、ウィローは着々と軍人として成長し、幼なじみの美しい娘レイチェル(メアリー・スチュアート・マスターソン)と結婚した。ハザードとサマンサは、この若いカップルを祝福し、個人的な交わりを深めた。1969年、ウィローは念願かなって少尉としてヴェトナムの戦場に出兵した。折りからヴェトナム戦争は次第に激しさを増し、テレビは連日のように凄惨な戦場のニュースを流し続けた。やがて新妻レイチェルが最も恐れていた瞬間がやってきた。ウィロー少尉の戦死の通知だ。アーリントンでは、ウィローの遺体を納めた棺が第3歩兵隊の手で埋葬されようとしていた。それを複雑な気持ちで見守るハザードやネルンン、サマンサたち。若くして未亡人となったレイチェルに合衆国大統領から星条旗が贈られたが、彼女の絶望感を癒すことはできなかった。