「アンクル・ジョー」のストーリー

ジョー・シャノン(バート・ヤング)は60年代に一世を風靡したジャズ・トランペッターで、ドラマーのグース(ジェーソン・バーナード)などと組んだステージは常に超満員で、一時はハリウッドで映画音楽を手がけたりもした。しかし、公演中、ロサンゼルス郊外の自宅が火を噴き最愛の妻と息子を失ってから、彼の人生は暗転した。以来10年、ジョーは酒びたりとなり安クラブで無気力に演奏し、客の失笑をかっていた。そんなかつてのリーダーに対し、唯一救いの手をさしのべていたのが、今はジャズ酒場監獄を経営するグース(ジェーソン・バーナード)だ。ある日、そのグースの折角用意した仕事をオジャンにしてしまったジョーは、おんぼろキャデラックを飛ばし、一度情を交わしたことのある女の家へ憂さばらしに向かったが、その女の経営する小さな食堂に着いた彼を出迎えたのは、一発のショットガンの銃声だった。それは、彼女の6歳になる息子ロビー(ダグ・マッケオン)の仕業で、話を聞くと母親はロビーを置いて、若い男と駈け落ちしたということだった。翌朝、ロビーを連れにきた市の福祉委員と修道孤児院の代表を嫌ったロビーは、ジョーの車にもぐりこんで、逃げだしていた。2人は、サントペロの安ホテルで再会し、ロビーは、孤児院入りをすすめるジョーをアンクル・ジョーと呼んで離れようとしなかった。ロビーは、ジョーに、イリノイのおじさんのところに行くための旅費が必要だと言い、2人の奇妙な道行きが始まった。デパートからロビーが盗んだサンタクロースの衣装を着て、ジョーがトランペットを吹き、ロビーが金を集めるという商売を始める。そこを偶然通りかかったのが、グースと彼の妻マーガレット(マッジ・シンクレア)で、ジョーの姿を非難しながらも彼らは20ドルをめぐんだ。集まった金をロビーに渡し、別れを告げたジョーは、ロビーが嘘をついていたことを知る。ロビーは身寄りのない孤独な少年だった。行きつけのバーに行ったジョーは、彼の荷物からミニ・トランペットを持ち出して入ってきたロビーを、人が変ったように張り倒した。それは彼が亡き息子の誕生日に与えた悲痛な思い出の品だった。ホテルに戻ったジョーはロビーに孤児院入りを説得し、2人はついに別れる。気落ちしたジョーは自殺を考えて海岸に向かったが、気を取り直し、孤児院へ戻り、ロビーを脱走させた。折りしも2人が逃げこんだ映画館では、彼の作曲した映画音楽が流れている。その時、ジョーには新たな決心が生まれた。翌日、再起を賭けたグースの店での演奏は、何とか恰好がついた。しかし、ロビーの足の異常に気がついたマーガレットのすすめで病院で診察を受けたロビーは、進行性の骨ガンで切断しなけれぱならないと診断される。ロビーは、病室の子供たちのために、近づくクリスマス・パーティーへの賛助出演を約束した。しかし手術後のロビーの心はジョーに対して固く閉ざされていた。暗い気持ちでホテルに戻ったジョーは、ミニ・トランペットをロビーの枕辺にそっと置いて去った。子供たちが待つ病院に駆けつけ、往時の実力をしのばせる素晴しい音色で「聖しこの夜」を吹くジョーの前に、車椅子に乗ったロビーが、手にあのミニ・トランペットをしっかり持って現われるのだった。