「アラバマ物語」のストーリー

1932年、アメリカは不況のドン底だった。アラバマ州メイコムという小さな町に、男やもめの弁護士アティカス(グレゴリー・ペック)は住んでいた。家族は彼と幼い子供たち、息子のジェム(フィリップ・アルフォード)、娘のスカウト(メアリー・バーダム)、それに家事全体を切りもりしている家政婦の4人だった。一家は静かな幸福な日々を送っていた。近所には狂ったブー・ラドレーが父に監禁されていた。ある日、農夫ボブが、娘が黒人の作男トムに強姦されたと保安官に訴えた。判事は罪を否認するトムの弁護人に、アティカスを指名した。町の人々は黒人を弁護したらただではすまぬと、アティカスに警告した。アティカスは不正と偏見を嫌い、何よりも正義を重んじる男だった。ジェムとスカウトは、気狂いのブーを見ようとラドレー家へ忍び込んだ。しかしブーに発見され逃げ帰った。そのうちにスカウトとジェム宛ての贈物が、ラドレー家の前の木の穴に置かれるようになった。このようにして月日は過ぎていった。危害を避けるため、ほかの町の留置場に入れられていたトムはメイコムに戻された。いよいよ裁判の当日。アティカスは必死の弁護を行って被告の無罪を主張したが、陪審員は有罪と決定した。アティカスには、控訴審で判決をくつがえす自信があったが、トムが脱走してしまい殺された。トムの家族にこのことを知らせに行った帰り、アティカスはボブに会った。ボブは彼に必ず裁判の仕返しをすると言うのだった。スカウトの学校で学芸会が催された。その帰りの夜道でジェムとスカウトは、ラドレー家の附近で何者かに襲われた。そこへ突然、第2の人影が現れ、襲った男をつかまえた。襲ったのはやはりボブだった。彼は胸にナイフを刺して死んでいた。2人を助けてくれたのは、ブー・ラドレーだった。ブーの行動は明らかに正当防衛だった。スカウトはブーを連れてきてジェムに合わせ、それから白髪の彼をもとの隠れ場所へと送っていった。ふたたびアティカス一家の平和な生活が始まった。