「荒浪越えて」のストーリー

サン・ビードロの港には世界各国の人種が集まって魚夫の生活を営んでいる。その中にジョー・サツアヌキの「日の出」号という漁船もあった。この港に停泊する軍艦から出る塵芥を集めて回るゴミ船「海の女王」号の船長ジェリコはもっと大きな船を使用しなくては仕事がやれないと港務部長に言われて、大きな船を買う計画中だと答えた。彼は船から落ちたゴミを拾うために船尾から大きな網を引いていたが、ある日その網に溺れかかっていたサリイという娘が引っ掛かった。サリイはダンサーだったが、ある金持ちが酔っ払って彼女に財布を与え、酔いが醒めてから彼女が盗んだと騒ぎだしたので、警官に追われてジェリコの船へ逃げ込んだ。ジェリコは彼女をペック夫婦の営む八百屋の店に預けた。ここのお内義さんはジェリコがかつて水兵の未亡人からバーニイという赤ん坊を押しつけられてから、毎日バーニイの世話をしてくれる親切者であった。サリイはジェリコが船を買う金を欲しがっているのを知って、彼を競馬に連れて行き、サンダブという馬が勝つからその馬に賭けるように教えたが、ジェリコは躊躇して幸運を逃がした。この後、まもなくジェリコはジョーに誘われてメキシコ沖へ鮪釣りに出発したが、霧の深い晩「日の出」号は客船に衝突して沈没し、ジョーとジェリコはある島に漂着する。ジョーは重傷を受けていたので、この島で息を引き取った。ジェリコは泣く泣く彼を埋める。やがて、彼は演習から帰港する艦隊に救われ、サリイとバーニイの待つサン・ビードロの港に帰ってくることができた。