「世紀の逃亡者」のストーリー

Gメンの監視の眼が厳しいので、ギャングのワルドはしばらく仕事を止めて少年時代を送った故郷の田舎町へ引込んだ。事情を知らぬ田舎の人たちは彼を成功者として歓迎し、幼馴染みのマートルが親しく迎えたので、彼の情婦ベーブはそれを嫉妬していた。祭日に教会で演説を頼まれたワルドは、教会の献金募集の話をしているうちに口を滑らして犯罪を撲滅せよと叫ぶ。信徒たちの献金を見てワルドは計画をたてた。それは宗教の名を借りて金を集め一儲けしようというのである。彼はこの悪計を誠しやかにするため、委員のなかにマートルを加えた。そのうちにマートルは彼の前身に薄々気づいたが、ワルドは先手を打って自ら改心の情を示し、礼拝堂の建設に懺悔の意を示していた。ある日マートルは子供を救おうとして自動車にひかれ瀕死の重傷を負った。彼女が生死の間を彷徨した数日間、いつしか彼女を愛するようになっていたワルドは、心から神に祈りを捧げた。かくて幼い時の純真な心が次第に彼の胸に甦って、マートルが全治した時には、彼は本心から悔い改めていた。子分たちを集めて正道に帰ることを告げまず第一にギャング、パーカーに通達を発して、悪事を止めねば世間に暴露すると使を出したが、パーカーはその使者を殺してこれに答えた。その夜礼拝堂に集まった群集の前でパーカーの悪事を曝すべく、ワルドは壇上に上った。当局は事件を嗅ぎつけて秘かに厳重な警戒をしていたが、パーカーの子分二人は裏庭へ忍び込み、壇上のパーカーを射撃した。犯人は直ちに逮捕され、負傷したワルドは病院に運ばれた。数日後Gメンが彼を見舞った時ワルドの側にはマートルが付き添って看病していた。