「十字軍(1935)」のストーリー

12世紀の末、聖地エルサレムはサラディンの率いるサラセン人に奪取された。そしてキリスト教徒の男は全て土牢に幽閉され、女は奴隷に売られるのであった。この惨状を見た老僧侶は欧州各国を遍歴して聖地を奪還しようとする十字軍の運動を起こした。彼は先ずフランス王フィリップの賛成を得たが、王の腹心の臣コンラッドはもし王が出征すれば英国の獅子王リチャードがフンスを併合する恐れがあると告げたのでフィリプはかねて許婚の仲である妹アリスとリチャードを出征前結婚させ後願の憂いを除こうと英国を訪れた。しかしリチャードはアリスとの結婚を喜ばず、十字軍の精神には了解しなかったが十字軍に加われば現世の約束は放棄されると聞いて婚約を逃れるために国を掲げて十字軍に参加した。腹黒いコンラッドはリチャードの弟ジョンと陰謀を企て、リチャードを亡き者にしてジョンを英国の王位に就け、アリスと結婚させる代償として自分がエルサレムの王となろうと計る。リチャードの軍隊はマルセイユからパレスタインへ乗船する事になったが糧食の欠乏に悩まされた。そのときナヴァールのサンチャ王は娘ベレンガリアとの結婚を条件にリチャードに糧食の供給を申し出た。結婚に興味は無かったが糧食の必要に迫られてリチャードはこの申し出に同意した。彼は結婚の式場へ家臣ブロンデルに自分の帯剣を携えて出席させたのでベレンガリアはリチャードを憎んだ。翌日リチャードは彼女が美しい乙女である事を発見してたちまち心変わり彼女を伴って出征の途に就いた。かくてサラセン王サラディン攻撃の戦いは開かれた。その折り英国からジョンが王位に就いたとの報が来た。フィリップはリチャードがベレンガリアを離婚して妹を妃とするなら彼を助けてジョンを討とうと行ったがリチャードはベレンガリアに自らの王冠を与え英国の女王に就かせ必ずエルサレムを奪還する事を誓った。今までリチャードを憎んでいたベレンガリアは初めて彼の真の愛を知ったが自分がいてはリチャードがフィリップと仲直りせぬので、彼の為にサラセン人の手に掛かって死のうと決心し傷ついてサラディンの捕虜となった。リチャードは憤然と戦いついに十字軍の勝利となったがベレンガリアはサラディンの為にエルサレムに連れ去られた。リチャードはエルサレムへ突進し又も両軍の間に大激戦が展開された。その夜サラディンの陣地にコンラッドが訪れ、リチャードを暗殺するから自分をエルサレムの王にしてくれと要求した。サラディンはコンラッドの裏切りを怒って処刑し、その部下がリチャードを襲う企てを知って遣いを派してリチャードに告げた。リチャードは危うい所をサラディンの部下に救われ、ベレンガリアを受取に単身乗り込んできた。ベレンガリアはもし自分を愛するなら戦いを止めてくれと懇願した。リチャードは彼女のために講和をする決心をした。かくてエルサレムはキリスト教徒の為に城門を開き、教徒は開放された。エルサレムの城門外に立ってリチャードはキリスト教徒が口々に賛美歌を歌いながら場内へ進んで行くのを見守っていた。ベレンガリアが許されて来た時リチャードは初めて神に祈りを捧げた。